韓国自動車大手の現代自動車・起亜が中国工場で製造し、海外に輸出した乗用車が2年間で5倍に急増したことが分かった。中国工場は今年上半期(1~6月)、現代自動車グループの海外工場のうち輸出台数が3位を記録し、主な輸出拠点であるトルコとインドを抜いた。
同社によると、今年上半期の中国工場による輸出台数は11万8000台で、2023年同期(2万3000台)の5倍、昨年同期(6万4000台)の2倍水準となった。現代自の中国工場は2023年上半期に3台だった輸出が昨年同期は約1万台、今年同期には3万5000台に増えた。輸出最多モデルはエラントラだった。約1万9000台が主にサウジアラビアなど中東地域に輸出された。昨年から韓国に輸出を始めたタクシー用ソナタも約1万台に達した。これは現代自が中国で製造した車を韓国で販売した初のケースだ。同社関係者は「昨年下半期のエラントラ輸出を皮切りに輸出が増え始めた。現在中東、東南アジアなどが主要輸出先だ」と述べた。起亜も今年上半期に中国工場から8万3000台を輸出した。2023年同期(2万3000台)から増加傾向を続けている。最多輸出モデルは小型SUVのソネットだった。約2万台が南米や中東などに販売された。
現代自・起亜はこれまでインドネシア、ブラジルなどに工場を設け、輸出拠点として活用してきた。現代自関係者は「海外工場に追加で設備投資を行うには、現地の内需による後押しが必要だが、成長スピードが予測より遅い」と述べた。その上、メキシコ工場は米国の関税障壁によって輸出が事実上阻まれるなど将来的な不透明さも増している。一方、中国は主要国に比べ、依然として人件費が安く、標準化された生産方式が定着したこともあり、輸出拠点としてのメリットが高まっている。
■中東・東南アジアを走る中国製現代車
現代自グループの中国工場は一時8カ所(現代自5カ所、起亜3カ所)に達した。しかし、2020年前後に売却と稼働中断が続き、現在は現代自2カ所、起亜2カ所だけが稼働している。270万台に達した年間生産能力も現在は150万台前後に低下した。昨年は約40万台を生産し、稼働率が30%前後だった。現代自グループは輸出を中心にこれら工場の生産台数を増やす計画だ。輸出拡大に支えられ、中国工場の業績も改善している。現代自の中国合弁会社である北京現代は今年第1四半期の損失(423億ウォン=約45億円)が昨年同期(1460億ウォン)より大幅に縮小した。起亜の中国合弁法人「悦達起亜」は昨年、8年ぶりに黒字転換に成功し、今年第1四半期に営業利益522億ウォンを計上した
輸出転換で中国工場が活力を徐々に回復し、現代自グループは中国での電気自動車(EV)の内需攻略も強化する計画だ。一時10%を超えていた現代自・起亜の中国市場でのシェアは1%を下回っている。現代自は今年下半期に中国向けに初のEVを発売し、2026年からハイブリッド車を含むエコカー5モデルを投入する。現代自グループとしては、世界最大の市場である中国で1ポイントでもシェアを高めることが、他の外国への追加投資よりも効率的だと見込んでいる。