中国社会を揺るがした「赤い姉さん」事件 被害者たちはなぜだまされたのか

 中華圏のマスコミでは、「紅姐」事件が中国社会のさまざまな慢性的な問題点を暴いたという分析が聞かれる。まず、歪んだ性欲求に対する批判だ。動画に登場したある男性は容疑者が実は男性だという事実を知りながら、「せっかく来た(来都来了)」のだからと関係を持った。その一言はオンラインで流行語になった。何か正しくないことをするという事実を知っていながら、既に費やした支払った時間や金銭を無駄にしたくはなく、そのまま行為を続けるといった文脈で使われている。

 容疑者の優しくて素直そうな演技が男性たちを惹きつけた点は、男女関係がモノ、カネの過度な物質主義に基づいて成立し、多くの男性たちが精神的な虚しさを感じているという現代中国の世相を反映しているとの分析もあった。

 香港メディア「香港01」は専門家の話として、「容疑者はソフトで穏やかな態度で相手を積極的に褒め称え、男性たちはもてなされているような幸せを感じたことだろう。相乗作用で男性の心理的、精神的欲求を満たし、警戒を和らげた」と伝えた。中国の衛生テレビ局「深圳衛視」の評論家、路子豪氏は「紅姐は母親のような温かさ、無条件で受け入れる姿勢、さらにタダという条件で包装し、自分の行動の違法性を薄めた。歪んだ情緒的価値に酔った被害者男性は容疑者が男だという事実を知った後も妥協を選んだ」と論評した。

 被害者には二次加害となったインターネット上でのプライバシー暴露文化も問題点として挙げられる。極目新聞は論評で「問題の事件は社会が深く反省すべき出発点にならなければならない。このおかしな騒動の中で虚偽をつくり出した者、拡散した者、そしてプラットフォームはどんな役割をしたのか」と問い、「どうすれば匿名が悪意が育つ温床になることを防げるのか、罪のない人々が被害に遭わないようにするためには何が必要なのかなどは、いずれもデジタル時代の道徳性と社会の安全を顧みる上で重大な課題だ」と指摘した。

 容疑者本人はわいせつ物流布の疑いで身柄を拘束され取り調べを受けている。ニュースメディアの新浪新聞によると、自分が性病に感染している事実を知りながら、故意に性的関係を結んだ事実があると認定され、感染によって被害者が死亡した場合、加害者は公共の安全を脅した罪で起訴され、死刑が言い渡される可能性もある。

北京=イ・ウンヨン特派員

【写真】「赤い姉さん」は「赤いおじさん」だった

前のページ 1 | 2 次のページ
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
関連ニュース
関連フォト
1 / 1

left

  • ▲写真=UTOIMAGE
  • 中国社会を揺るがした「赤い姉さん」事件 被害者たちはなぜだまされたのか

right

あわせて読みたい