韓国外交から消えた「インド太平洋」…中国の圧力を意識しているのか

故・安倍元首相が提案し、トランプ大統領が採択…対中けん制が核心
尹錫悦政権はインド太平洋戦略を発表、李在明政権では言及なし
米国は韓国を「インド太平洋パートナー」と規定…「二股外交」も警告

 実際、李在明政権発足後の首脳会談発表文や外交部の報道資料などで、「インド太平洋」という用語が一切使われていないことが判明した。代わりに「域内の平和と安定」といった単語に置き換えて使っているが、これは中国けん制のためにインド太平洋戦略を完成させ、履行している米国と比べるとかなりの温度差がある。米議会では、共和党・民主党を問わず超党派のコンセンサスの下、「韓国はインド太平洋地域の中心的な防衛条約同盟」(ジーン・シャヒーン上院外交委民主党幹事)、「韓国はインド太平洋を自由で開かれたものとして守る上で核心的な同盟国」(ヨン・キム共和党下院議員・外交委東アジア・太平洋小委員長)というメッセージを発信している。クリストファー・ランドー国務副長官もX(旧ツイッター)で、韓米日外務次官会議のニュースを伝えつつ「インド太平洋地域の安全・安保・繁栄を保障するための重要な対話を交わした」とコメントした。

 韓国政府が伝えた韓米外務次官会談の発表を見ると「ランドー副長官がインド太平洋地域の公約を再確認し、緊密に協力していくことを希望すると語った」という内容のみが示されており、ここで韓国側がどのような立場を表明したかは含まれていなかった。韓米日外務次官会議に関しては「3国がインド太平洋地域の平和・安定維持のために努力していくこととした」となっているが、これは、韓米日協力を履行するかどうかを李在明政権外交の「リトマス試験紙」と見なす米国朝野の雰囲気と無関係ではない。李在明政権は、韓米同盟を根幹としつつも中国・ロシアとの関係も管理したいという「実用外交」を掲げたが、ワシントンでは「韓国は米中競争の中ではっきりとした立場を取るべき」というメッセージを複数のルートで発信している。ピート・ヘグセス国防長官は今年5月のシャングリラ会合で、安全保障は美国(米国)、経済は中国に協力するという、いわゆる「安美経中」は駄目だと語り、MAGA(Make America Great Again/米国を再び偉大に)寄りのブライアン・マスト下院外交委員長は「双方とも満足させようと思ったら、結局は皆が被害を受けるだろう」とし、二股外交を容認するつもりはないという立場を明らかにした。

ワシントン=金隠仲(キム・ウンジュン)特派員

【写真】在韓米軍が使用中 北朝鮮より台湾・フィリピンが目を引く「逆さ地図」

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