豪北部に極超音速ミサイル「ダークイーグル」配備 米国が中国の第2列島線にあいくちを突き付けた

米本土外に配置したのは初めて
探知・迎撃が困難な「ゲームチェンジャー」に
中国が設定した「第2列島線」を無力化

豪北部に極超音速ミサイル「ダークイーグル」配備 米国が中国の第2列島線にあいくちを突き付けた

 米インド太平洋軍司令部(INDOPACOM)が、極超音速ミサイル(LRHW)「ダークイーグル」を7月にオーストラリア北部に投入した、と発表した。「ダークイーグル」は米国が2023年に実戦配備した最新鋭極超音速ミサイルで、米本土外に配置したのは初めて。中国の太平洋覇権掌握の試みを積極的に遮断しようとする狙いがあると解釈されている。中国が自国の太平洋沿岸に「空母キラー」弾道ミサイルを大挙配備したことに伴い、米国は中国の「第2列島線」無力化を目的として「攻撃用中距離ミサイルをアジア・太平洋地域に前進配置する」という計画を表明してきたが、ダークイーグルの豪配置はそのシグナルだ。これは、在韓米軍を含めインド・太平洋地域の米軍全体を対中けん制に投入する方向に転換しようという、米国の描く大きな絵とも合致している。

【写真】極超音速ミサイル「ダークイーグル」発射の様子

 「ダークイーグル」は射程2800キロほど、最高速度はマッハ17(音速の17倍)だ。軌道を自由自在に変換して変則飛行することができ、探知・迎撃が極めて難しい、現代戦の「ゲームチェンジャー」と呼ばれる。INDOPACOMは最近、ホームページを通してダークイーグルのオーストラリア配置のニュースを伝え、7月にオーストラリアで開かれた多国籍合同演習「タリスマン・セイバー」でダークイーグルの実射撃訓練を行ったことを明かした。INDOPACOMのサミュエル・パパロ司令官は「米軍が前方で極超音速ミサイル・システムの指揮・統制、作戦能力を検証した」「インド太平洋地域の中心的同盟国であるオーストラリアに戦力を投入し、防衛を支援できる力を確認した」と語った。INDOPACOMは「ダークイーグルは極超音速を活用し、長距離精密打撃の遂行能力を提供する画期的な戦力」だとし「米国が変化する安全保障課題に革新的に対応し、軍事技術の最前線に立つという意志を示すもの」とコメントした。

■中国が描いた線の前に「あいくち」を配置…米国のインド太平洋戦略が本格稼働

 ダークイーグルは、米国が2019年にINF(中距離核戦力)条約破棄を宣言した後、極秘裏に開発してきた兵器だ。米国と旧ソ連は1987年に軍縮と緊張緩和を目的として、射程500キロから5500キロまでの中・短距離ミサイルの生産と実戦配備を全面禁止するINF条約を結んだ。しかしその間、INF条約非加入の中国が制約なしに中・短距離ミサイルを開発して大挙実戦配備し、太平洋で米軍を脅かす状況となった。中国は「空母キラー」と呼ばれる射程1800-3000キロの対艦弾道ミサイル(ASBM)「東風(DF)21D」を実戦配備し、台湾を狙って射程600-1000キロのDF15短距離弾道ミサイルも実戦配備している。中国は山東半島にも、在韓米軍や在日米軍基地を核攻撃できる射程1000キロのDF16ミサイルを配備した。中国が保有する中距離・短距離ミサイルは最大およそ3000基と推定される。

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