中国製ミサイルに撃墜されたインド空軍戦闘機ラファール、射程圏外と誤認か

 今年5月に起こったインドとパキスタンの武力衝突の際、インド空軍のフランス製最新鋭戦闘機ラファールがパキスタン軍の中国製戦闘機とミサイルに撃墜されたと伝えられているが、これについて「性能差ではなく情報戦でのミスが原因」との説が報じられた。

【写真】パキスタン空軍のJ10C戦闘機

 ロイター通信は3日付でインド軍関係者2人とパキスタン軍関係者3人のインタビュー記事を掲載し「ラファール撃墜は機体の性能が原因ではなくインド軍の情報戦失敗が原因」と報じた。

 ロイター通信は「パキスタン軍が攻撃に使用した中国製PL15ミサイルの射程距離に対する判断ミスが決定的な要因だった」と伝えた。インド軍パイロットらはPL15の射程距離を約150キロと認識していたが、実際は200キロ以上だったという。戦闘は双方共に自国の領空から出ない状態の相手の視界に入らない交戦(BVR)だったため、インド軍がPL15の射程距離を正確に把握していればラファールは撃墜されなかったとの見方だ。

 ラファールのパイロットらは自分たちが射程圏外にいると誤認し飛行中に攻撃を受けたという。パキスタン空軍のある関係者も「パキスタン軍はインド軍を待ち伏せ攻撃した」と証言した。英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)のジャスティン・ブロンク研究員は「インド軍は攻撃を予測できなかった」「PL15は長距離戦で確かに強みを発揮した」との見方を示した。

 ロイター通信は「パキスタン軍は中国製J10戦闘機などが地上と空中の監視網を確実に連結するチェーンシステムを構築し、交戦状況をしっかりと把握できた」とも指摘した。このシステムにより、J10は相手レーダーに探知されずインド軍に接近しながら飛行できたとみられる。

 このような見方についてインド軍は「空軍は複数の国から戦闘機を導入しているので、これらを連結するシステムの構築には時間がかかっている」として限界を認めた。

 インド軍はパキスタン軍に撃墜されたことを受け戦術を修正し、長距離攻撃に力を入れている。自国製超音速巡航ミサイルのブラモスによりパキスタン軍の防空網を複数回突破し、パキスタン空軍の基地やレーダーなど少なくとも9カ所を攻撃した。

 情報戦での失敗についてインド国防省と外務省はロイター通信の取材では何も言及しなかった。現在インド軍はラファール撃墜についても表向きは認めていない。ただしフランス空軍参謀総長は6月にラファール1機とロシアのスホーイなどインド軍航空機2機が破損した証拠を確保したという。ラファールを製造するフランス・ダッソー社の役員も同月フランス議会で「インド軍は作戦中にラファール1機を失った」と証言した。

 専門家は「両国の交戦で中国空軍機と西側空軍機のどちらが優位か確実には立証されなかったが、正確な情報を確保し活用することの重要性を改めて示した」と指摘する。RUSIのグレッグ・ベグウェル氏(元英空軍中将)は「今回の戦闘で勝者は最も優れた状況認識能力を持つ側だった」と評した。

 今年5月7日にインド軍の空襲で始まった今回の空中戦は3日後の10日に米国の仲裁で終わった。インドは「今年4月に26人の民間人が犠牲になったカシミール・テロに報復するため攻撃を開始した」と主張している。この戦闘で両国から110機以上の戦闘機が出撃したとみられる。これは第2次世界大戦後では最大規模として記録される可能性が高いという。

パク・ソンミン記者

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