DL建設代表取締役ら80人辞表提出、李在明大統領の労災厳罰化方針で建設業界はパニック状態

120カ所以上の現場作業も中断

 韓国の建設会社・DL建設の代表取締役と全役員・現場所長・チーム長全員ら約80人が11日、辞表を提出した。8日に京畿道議政府市内で発生したマンション工事現場死亡事故について責任を取ったものだ。今年死亡事故が相次いだ別の建設会社・ポスコE&Cに対して、李在明(イ・ジェミョン)大統領が自ら「免許取り消し」に言及するなど、労働災害に関して全方位的に圧力を加えていることから、建設業界は「労災に対する恐怖」でパニック状態に陥っている。

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 DL建設は11日午後、見解文を出し、「8日に発生した事故に対する責任を取ってカン・ユンホ代表取締役とハ・ジョンミン最高セキュリティー責任者(CSO)をはじめとする役員陣、全現場所長と本社全チーム長が自発的に辞表を提出した」と明らかにした。同社側は「職をかけて現場安全のための業務に臨むという意味だ」と説明した。どの範囲まで辞表を受理するかなどはまだ確定していない。

 今回の事態の発端は、京畿道議政府市新谷洞のDL建設マンション新築工事現場で8日に発生した死亡事故だ。ポスコE&Cの相次ぐ死亡事故を巡り、李大統領が免許取り消しなど強硬な対応を指示してから二日後に発生した事故だった。事故直後、DL建設とその親会社であるDL E&Cは、DL建設の44カ所の現場だけでなく、親会社DL E&Cの120カ所を超える現場でまで作業を全面中断し、緊急点検を行ってきた。DLグループ関係者は「全社的に緊急安全点検を実施し、安全が確実に確認された所だけ作業を再開する」と述べた。

 李大統領は先月29日の国務会議(閣議)で、ポスコE&Cの相次ぐ死亡事故について「未必の故意による殺人だ」と叱責(しっせき)した。その後、今月4日にポスコE&Cの高速道路工事現場で外国人労働者が心停止を起こすという事故が再び発生するや、ポスコE&Cのチョン・ヒミン代表は5日に辞任した。しかし、李大統領は翌6日、「免許取り消しなど可能な案をすべて見つけ出して報告せよ」と、再び超強硬発言をした。DL建設死亡事故後も、李大統領は「すべての労災死亡事故を最速で大統領に直報せよ」と指示し、事実上の「労災との戦争」を宣言した。

 1週間も経たないうちに建設現場の死亡事故により大手建設会社2社のCEOが退くという初の事態が起きたことから、建設業界関係者らが感じる恐怖は極限に達している。事実、韓国政府と与党は建設現場で死亡事故を防止するため、強度の高い処罰案を含む安全対策を検討している。死亡事故が発生した場合、代表取締役の辞任はもちろん、免許停止や売上高の一定比率を課徴金として徴収するなどの案が検討されている。韓国国内の産業現場における死亡事故の半数が建設業で発生していることから、こうした対策は建設業界をターゲットにすることになるだろうとの見方が支配的だ。

 一部には、「政府と政界は本質的な問題を度外視したまま、過度に恐怖をかき立てている」という声もある。2022年の重大災害処罰法施行以降、大手建設会社が自主的に安全システムを構築したのにもかかわらず事故が絶えないのは、慢性的な低価格入札制や下請け慣行、高齢化に伴い外国人依存度が高まっている人材構成など、構造的な限界のためだという指摘だ。

李美智(イ・ミジ)記者

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  • ▲ソウル市鍾路区敦義門DタワーのDL E&C本社

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