不渡り秒読み段階 韓国財界を揺るがす石油化学危機、このままでは地域経済が崩壊

 しかし、中国はこの3年間、自国のエチレン生産設備を大規模に拡大した。増設規模は韓国の年間生産量1500万トンをはるかに上回る2500万トンに達する。さらに、今年から2027年まで1500万トン規模の設備が加わる予定だ。

 最大の輸出先だった中国が世界最大の生産国に変貌すると、韓国は危機に直面した。中東のエネルギー企業までもが潤沢な資本を背景に原油から直接エチレンを生産する技術への投資に乗り出し「低価格競争」の波が押し寄せた。中国製の価格は韓国製に比べ15~20%安く、中東製は韓国製の30%程度にすぎない。韓国は売れば売るほど赤字になる状況だ。

 韓国企業は工場の稼働を縮小し、非主力事業を売却することで現金確保に奔走している。LG化学は今年6月と8月に水処理フィルター事業とエステティック事業部をそれぞれ売却し、約1兆6000億ウォンを確保した。ロッテグループも昨年末、ロッテケミカルの資金不足を解消するため、グループの象徴であるロッテワールドタワーを金融機関に担保として差し入れた。暁星は昨年末に特殊ガス事業部をグループ内の系列会社である暁星TNCに9200億ウォンで売却することに決めたが、これでは系列他社の負担が増すのではないかと懸念されている。

■地域経済低迷につながるか

 石油化学産業は川下も含む雇用創出が約40万人に達する。大企業の系列会社1、2社が工場稼働を止めたり、経営が破綻したりすれば、下請け企業数十社が軒並み影響を受け、地域経済を直撃しかねない。麗水、大山、蔚山などの地域経済全般に衝撃を与える可能性があるのだ。既に税収も減少している。昨年、石油化学団地が集中する麗水、蔚山、瑞山の各税務署の国税収入は約13兆4000億ウォンだった。石油化学好況期の2021年(約20兆ウォン)と比べると約33%減少した。

 韓国化学産業協会の依頼で石油化学事業再編コンサルティングを実施したボストンコンサルティンググループ(BCG)は昨年、「このままでは現在の石油化学企業の50%は廃業があり得る」と警告した。

 専門家は今後は政府が状況打開に乗り出すべきだと呼びかける。産業研究院の権南勲(クォン・ナムフン)院長は「政府レベルで明確に構造調整方向のガイドラインを示すべきだ。さもないと不確実性が高まり、さらに困難な状況になるだろう」と話した。ソウル科学技術大の劉昇勲(ユ・スンフン)教授は「企業に任せて解決できる時期は既に過ぎており、アジア通貨危機の際に銀行主導で実施した構造調整のレベルで徹底して進めなければならない。このままでは地域経済が崩壊するだろう」と述べた。

イ・ヨングァン記者、イ・ジョング記者

【表】韓国財界を襲う石油化学不況

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