不渡り秒読み段階 韓国財界を揺るがす石油化学危機、このままでは地域経済が崩壊

 韓国化学大手でハンファグループとDLグループの合弁会社である麗川NCC(全羅南道麗水市)で経営危機説が浮上している。今年3月に親会社であるハンファグループとDLグループから合計2000億ウォン(約213億円)の資金支援を受けてから半年もたたずに3000億ウォンの追加支援要請をしたからだ。資金支援が最終的に確定すれば、年初来で5000億ウォンの資金が投じられることになる。ハンファ・DL両社内部からは今後も追加で資金支援が必要になる可能性も排除できないとの反応が聞かれる。競争力を失ったまま、底の抜けたかめに水を注ぐような資金支援に頼って延命させているわけだ。麗川NCCには中国発の衝撃波になすすべもなくさらされる韓国経済の現状が圧縮されている。

【表】韓国財界を襲う石油化学不況

 麗川NCCは2017年に営業利益が1兆ウォンを突破するなど、韓国の石油化学産業の勢いを代表する企業の一つだった。同年に韓国の輸出は当時としては過去最高の5737億ドルを記録したが、石油化学製品の輸出割合が8%に達するほど寄与度が高かった。それから8年で麗川NCCは経営危機説が流れ、緊急資金支援でも経営再建を見通せない状況になった。

 韓国の財界上位10グループのうち、LGをはじめ6社が石油化学企業を中核系列会社としている。各社も非常事態だ。最近1~2年で一斉に経営再編に突入し、系列会社の売却などで現金確保に必死だ。各社は石油化学分野の不振が他の系列企業に波及することを恐れている。石油化学産業は数兆ウォンの投資が必要な超大規模設備と大量の原材料が必要であり、資金注入規模は大きくなる。

 檀国大のキム・ヨンジン科学技術政策融合学科教授は「以前の産業不況の場合は2~3年後に好況が到来して回復したが、現在の危機は本質的に違う。韓国内部の競争力が低下し、根本的な限界に達した」と指摘した。

■消えた競争力

 韓国石油化学業界の「ビッグ4」であるロッテケミカル、LG化学、ハンファソリューション、錦湖石油化学は2021年、合計で9兆ウォン以上の営業利益を出した。しかし、昨年は営業損失が8784億ウォンに達した。今年も上半期だけで既に5000億ウォンに迫る損失を記録し、通期での赤字は昨年をはるかに上回るとみられる。

 専門家は韓国の石油化学産業が構造的に競争力を失ったと分析する。韓国企業の看板製品は各種プラスチック製品の材料であるエチレンだ。国内の石油精製メーカーや海外から買い入れたナフサをNCC(ナフサ分解設備)で加工して生産する。中国経済が急成長した時期、韓国製エチレンの40~50%が中国に輸出され、韓国企業は巨額の収益を上げた。

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  • ▲麗河NCC第2事業所全景/YNCC
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