「最上の結果が韓米関係に実質的改善をもたらしはしないが、逆に、最悪の結果は韓米関係を深刻に損ないかねない、リスクは高く報償は少ない(high risk, low reward)訪問になる可能性が高い」
8月25日の李在明(イ・ジェミョン)大統領とドナルド・トランプ大統領の首脳会談開催をホワイトハウスが確認する中、ワシントンの韓半島専門家であるアメリカン・エンタープライズ研究所のザック・クーパー・シニアフェローは、会談の展望と主な議題についての本紙の質問に対しこのように答えた。外交関係者の間には「失敗した2国間首脳会談はない」という長年の格言がある。懸案についての意見調整といったソーセージを作る過程はおおむね実務陣の受け持つところであって、合意に至れば包装紙をうまくかぶせ、両国首脳が対内・対外に声明のような形で公表するのがプロトコルだからだ。これまでの韓米首脳会談はこうだったが、相手がトランプだと話が違ってくる。過去7カ月の間にホワイトハウスで行われた外交イベントを見ると、どこへ飛ぶか分からないラグビーボールのようなもので、一部の会談は「外交惨事」に終わったと評されている、城南市長だった2016年以来10年ぶりにワシントンを訪れる李大統領の訪米も、手ごわいものになるかもしれない。
代表的な例が、トランプがウクライナ戦争の終戦外交でアクセルを踏み込んでいた今年2月28日に開かれた、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領との会談だ。両首脳はウクライナ戦争の解決策を巡って意見の違いを見せたが、トランプはもちろん、右側に陪席していたJ・D・バンス副大統領とマルコ・ルビオ国務長官などが乗り出して「無礼だ」「感謝を知らない」とゼレンスキーに言い放った。プール(代表取材)記者として現場を見守っていたMAGA(米国を再び偉大に)系のインフルエンサーまで、ゼレンスキーに「なぜあなたは正装しないのか」「私たちを尊重していないのではないか」と尋ねるほどに雰囲気は険悪だった。ゼレンスキーも通訳なしで、100%巧みとはいえない英語で「1対多」のけんかを繰り広げて外交惨事を招き、結局、予定されていた夕食会はキャンセル。この日締結されるはずだった鉱物合意にも至らなかった。その後、ゼレンスキーが再びトランプの気を変えさせるまで、かなり長い時間がかかった。
今年5月21日のトランプとシリル・ラマポーザ南アフリカ共和国大統領との首脳会談も、これまで語られている外交イベントの一つだ。トランプは会談前から「南ア国内の白人に対する人種差別」問題に言及し、南アが議長国を務める今年10月のG20(20カ国・地域)会議もボイコットする可能性を示唆した。ラマポーザは、ゴルフを大層好むトランプの趣向を狙うため、「ビッグ・イージー(big easy)」と言う別名を持つ伝説の南ア出身のプロゴルファー、アーニー・エルスまで帯同してホワイトハウスに現れたが、トランプが予告になかった「白人農夫集団殺害」動画を流したことで事故が起きた。トランプが流した動画は捏造(ねつぞう)で、プリントした関連記事のほとんどは事実ではないと確認されたが、トランプの前では「うそか本当か」は重要ではなく、ラマポーザはこれについて釈明するのに脂汗を流さなければならなかった。南ア現地メディアは、これをトランプの奇襲攻撃かつ「マルチメディアの待ち伏せ」と表現したが、この場面を見て、トランプとの会談が迫っていた主要国の外交官らは胸をなでおろしたという。