報告書は中国国内にいる北朝鮮女性たちが受けている虐待について、脱北者の証言、シンクタンクや市民団体報告書などを引用し、「相当数は人身売買被害者であり、コロナ以降、状況がさらに悪化し、ワクチン接種のような基本的な権利さえ享受できず疎外されている」と指摘した。一部地域では手首に腕輪型の追跡装置を装着したり、臨時居住許可証を発行したりして滞在が認められているが、月に1、2回公安に報告する条件が付いているので、常に危険な状況と隣り合わせだ。中国は北朝鮮住民を発見次第、積極的に送還しているが、その過程で韓国への脱北の試みに関する情報を得るため、一部地域で最大3000ドル(約44万円)の金銭的補償を提供し、北朝鮮住民を配偶者とする中国人を「脅している」とされる。送還された人々は「北朝鮮に戻り長期間の尋問とつらい強制労働を体験した」と証言した。
報告書は「現在約10万人の北朝鮮労働者が北朝鮮政権によって派遣され、中国で働いている」としたが、それ自体が国連安保理決議違反だ。しかも水産業などつらい労働現場で強制労働をさせられ、北朝鮮の政権側が収入の90%を回収するなど処遇が劣悪だという。報告書は昨年1月、吉林省で北朝鮮からの派遣労働者が賃金未払いに怒り、監視員を「人質」として、賃金が支払われるまでストライキを行うと表明したケースに言及した。その後、デモで主導的な役割を果たした労働者200人が当局に割り出されて強制送還されており、労働収容所で深刻な人権侵害を体験した可能性が高いと指摘した。その一方で、それを中国国内で北朝鮮労働者による「最初の主要なデモ」と位置づけ、「チャンマダン世代(闇市場経済世代)は前の世代に比べて不満をより公にする傾向があり、単発的な事件ではないかもしれない」「細かいモニタリングが必要だ」との認識を示した。現在米議会ではCECCの主導で中国の人権問題に関する超党派による法案が相次いで提案されている。
ワシントン=金隠仲(キム・ウンジュン)特派員