「中国が北朝鮮女性の人身売買・強制労働に関与」 米議会が報告書

 米議会内の超党派的諮問機関である「議会・行政府中国委員会(CECC)」は今月12日、中国国内の北朝鮮住民に対する人権弾圧問題を扱った報告書を公表した。CECCは中国の人権状況と法治問題を監視するために2000年に発足し、過去にルビオ国務長官らが活動していたことで知られる。現在はサリバン上院議員(共和党)、スミス下院議員(民主党)が共同委員長を務め、共和・民主両党の議員10人余りが委員として所属している。CECCが中国にいる北朝鮮住民に関する報告書をまとめ、強制送還、女性の人身売買、強制労働、労働者搾取などの問題を深く扱ったのは今回が初めてだ。

 報告書は「民為貴 、社稷次之、君為軽」(民を貴しと為す。社稷=しゃしょく=之に次ぎ、君を軽しと為す)」すなわち「民が最も貴く、国家(社稷)がその次に貴く、君主が最も軽い」という民本思想を唱えた孟子の警句まで引用し、「北朝鮮難民の権利を無視する中国共産党の行動が孟子の理想と真っ向から対立している」と指摘した。

 CECCは2023年10月、中国政府が脱北者600人を一度に強制送還した前後、中国国内による北朝鮮住民の人権に関する広範囲の実態調査に着手した。同年6月、議会で聴聞会を開き、問題を提起している状態であり、昨年1月には韓国に代表団も派遣した。今回の報告書は今年初めに執筆を完了したが、トランプ政権発足初期の議会運営スケジュールの都合で公表が遅れていた。偶然にもトランプ政権初の国別人権報告書と同時に公表された。報告書は「中国が母国での極度に残酷な政権からの避難先を求める北朝鮮難民の権利を無視していることは深刻な国際法違反だ」とした上で、「『相当の影響力』を使い、北朝鮮が残酷な行為を中断するよう圧力を加え、より良い暮らしを保障すべきだ」と指摘した。中国は国連による勧告にもかかわらず、人権侵害を避けるために越境してきた北朝鮮住民を「保護が必要な難民」ではなく「経済的理由による不法入国者」と規定してきた。

 報告書はコロナ禍で約4年間にわたり、中朝国境が厳しく閉ざされた後、2023年8月に国境が再開放され、大規模な送還が行われたとし、2023年10月9日に中国国内の拘留施設から約600人の北朝鮮難民が車両に乗せられ、北朝鮮に送還されたことを挙げ、「ここ数年間で最大規模の強制送還事件」だとした。一例として、キム・チョルオクさんの場合は、1998年に吉林省に定住し、中国に20年以上住み、中国人の夫と結婚して娘を産み家庭を築いていたが、2023年4月に突然逮捕、送還された。キムさんの姉、キム・ギュリさんは、北朝鮮難民に対する中国の非人道的政策を批判し、「北朝鮮に戻れば、ハエ扱いされ殺されるのに、人間がやることではない」と批判した。国連はキム・チョルオクさんの送還を「恣意(しい)的拘禁」と判断し、北朝鮮に情報提供を求めたが、何の回答もなく安否も所在も確認されていない。

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