米国が自国の安全保障にとって重要と判断する産業に対しては、市場原理を放棄し、国家が直接介入できるという点も明確にした。ブルームバーグは「政府の直接介入が市場と政界を驚かせている」と報じた。業界はトランプ政権が半導体工場を自国領土内に誘致すること線を越え、工場経営のコントロール権まで確保する狙いだと分析している。半導体業界関係者は「少数株主だが政府が私企業の株主になった瞬間、意思決定に影響を及ぼす公式な窓口ができる。補助金支給ではできない企業統制方式だ」と指摘した。
■補助金を株式に転換
インテルをはじめ、主な半導体メーカー各社は、半導体支援法によって、大規模な対米投資を約束した。同法は米国内に半導体生産施設を建設する企業に総額527億ドルの補助金を支援することが骨子だ。インテルはオハイオ州などに5年間で1000億ドルを投資し、半導体生産およびパッケージング(封止)を行う施設を拡張・新築すると発表した。米マイクロンと台湾積体電路製造(TSMC)もそれぞれ1250億ドル、1650億ドルの投資を発表した。韓国企業ではサムスン電子がテキサス州テイラーに370億ドル以上を投じ、来年までにファウンドリー(半導体受託生産)工場を建て、SKハイニックスは2028年までにインディアナ州に先端パッケージング工場を建設する予定だ。
米政府は投資に比例して補助金支援を約束した。TSMCは66億ドル、マイクロンは61億6500万ドル、サムスン電子は47億4500万ドルの補助金を受け取ることがそれぞれ確定した。しかし、トランプ政権になり、半導体支援政策に対する全面的な再検討が始まり、補助金の大半はまだ執行されていない。インテルが経営難に陥ると、米政府は同社支援に苦慮したが、補助金で株式10%を取得する案を持ち出した。それを他社にまで拡大適用すると表明した格好だ。業界関係者は「バイデン政権は補助金というアメで世界的な半導体メーカーを米国に誘致し、トランプ政権は関税と株式取得というムチで圧力を加えている」と話した。
■半導体主導権握る狙い
ラトニック米商務長官が言及した通り、補助金支援分に相当する会社株式を取得するとすれば、米政府はインテルの株式9.8%を握る筆頭株主の座に就くことになる。インテルは補助金109億ドルを受けることを決めたが、これはインテルの時価総額(1108億ドル)約9.8%だ。同じ方式で計算すると、米政府はサムスン電子に1.6%、マイクロンに4.5%、TSMCに0.7%を出資する半導体業界の超大口投資家になる。