親与党「内乱特別裁判部」設置目指す動き、とどのつまり「共に民主党は判決に不満」【9月3日付社説】

親与党「内乱特別裁判部」設置目指す動き、とどのつまり「共に民主党は判決に不満」【9月3日付社説】

 進歩(革新)系与党「共に民主党」の全賢姬(チョン・ヒョンヒ)最高委員は2日、「裁判所でまず、韓国国民が裁判の公正性に疑問を持っている人物を全部措置するか懲戒するのが先行するのであれば、わざわざ内乱特別裁判部をつくる必要があるだろうか」と語った。その上で「内乱首謀の容疑者に対して勾留取り消し決定を行った裁判部が内乱裁判を担当しているというのは、司法府不信を招く事態」と主張した。尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の勾留取り消し決定を下した池貴然(チ・グィヨン)ソウル中央地裁部長判事を内乱裁判から排除するのであれば、民主党が推進中の内乱特別裁判部設置を撤回することもあり得る―というわけだ。国会法制司法委所属の徐瑛教(ソ・ヨンギョ)民主党議員も同日、「池判事は信用できない」「内乱特別検察官が『池貴然裁判部は駄目』と忌避申請をしたら、裁判所はまずそれを受け入れるべき」と語った。

 尹・前大統領など内乱容疑者に対する一審の裁判は、ほとんど池判事が引き受けている。池判事は今年3月、尹・前大統領が勾留期間満了状態で起訴され、高位公職者犯罪捜査処(公捜処)の内乱罪捜査権はあいまいだという点などを挙げて、勾留を取り消した。当時、法理的に論争があった事案だが、判事の判決が気に入らないからといって気に入った判決を出してくれるであろう裁判部を別につくりたいというのは、民主法治国の基本的な枠組みを逸脱するものだ。

 民主党は、池判事の風俗店接待疑惑も提起したが、証拠として提示したものは、彼が二人の男性と一緒に座っている写真だけだった。池判事が職務関連の接待を受けたという証拠はまだ出ていない。この事案は大法院(最高裁)が独自に調査を行っており、公捜処も捜査中だ。結果を見て裁判官の排除について議論しても遅くはない。

 裁判官の除斥・忌避は判事が被害者であったり被害者の親族または法律上の利害関係があったりする場合、公正な裁判を期待し難い事由があるときなど、特別な場合にのみ可能なものだ。判事一人を裁判から排除したくて特別法まで作り、特別裁判部を設置するというのはあまりにやり過ぎだ。司法府の独立を害する違憲的措置だ。民主党は、解放後の反民特委や4・19革命後の特別裁判部を前例に挙げるが、責任者が法に基づいて弾劾され、自由選挙を通して新政権が発足する今と当時を比較すること自体が無理なことだ。また、当時の韓国憲法には特別裁判所の設置根拠が明示されていたが、今の韓国憲法が特別裁判所として認めているのは軍事裁判所だけだ。

 既に裁判中の事件に政治権力が関与し、判事を勝手に変えるのは常識外れだ。大法院が事実上、公に反対し、民主党内部からも懸念の声が上がっている。民主党はこうした事実を知らぬはずがない。それにもかかわらず押し付けるのは、司法府に圧力をかけ、裁判で自分たちの「口に合う」判決を引き出したいという狙いがあるからだと見るほかない。

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