トランプ政権の実力者の一人でもある米国防総省のコルビー次官は昨年朝鮮日報とのインタビューで「韓国も日本のようにウラン濃縮と再処理が可能な方向へと原子力協定改正に向けた協議は可能と思う」と述べた。1988年に発効した米日原子力協定では日本の使用済み核燃料再処理や20%未満のウラン濃縮を認めている。しかし米国政府は以前から核兵器拡散を防ぐため再処理と濃縮の権限を持つ国の制限を政策として進めてきた。トランプ大統領も韓米首脳会談の際、記者団の取材に「中国やロシアとの非核化に向けた話し合いを希望する」として「核兵器の拡散を放置できない」と発言した。
別の韓国政府高官OBは「米エネルギー省、国務省、国防総省などには今も韓国に対して再処理やウラン濃縮を認めない人物が多い」「韓米原子力協定の改正や韓米原子力ハイレベル委員会でウラン濃縮の合意を引き出すにはこの『非拡散スクール』の反対を克服せねばならない」と語る。それにはトランプ大統領が明確に指示するか、あるいは韓国に対する米国の戦略的判断見直しが必要になるだろう。そのため在韓米軍の役割調整など韓米間で今なお協議中の別の安全保障上の懸案がこの問題に影響するとの見方もある。魏聖洛室長も韓米原子力協定改正について「全てが連動するテーマであり、他の問題と関連付けて合意を引き出すことも考えられる」との見方を示している。
世界的に見ても核燃料再処理やウラン濃縮を行う米国、ロシア、フランス、中国、インドなどはどこも核兵器を保有している。米国が1980年代に非核保有国の日本に再処理と濃縮を認めたのは異例で、中国とロシアのけん制を念頭に置いたと考えられている。
韓米原子力ハイレベル委員会による協議の再スタートなど、実質的な議論を求める声も高まっている。この委員会は原子力分野における両国の懸案を議論するもので、2016年に最初の協議が行われたが、文在寅(ムン・ジェイン)政権による脱原発政策などにより18年以降は協議が中断している。
キム・ドンハ記者