4日(現地時間)、米ジョージア州にある現代自動車・LGエネルギーソリューション工場で行われた「大規模合同移民取り締まり」は、さながら軍事作戦のようだった。工場の上をヘリコプターが飛び、工場周辺には装甲車をはじめとする武装した軍用車両があちこちに配置された。逮捕者を輸送するための大型バスもひっきりなしに行き来した。
【写真】米移民当局が不法就労の疑いがある約450人を逮捕する様子
米国土安全保障調査局(HSI)や米連邦捜査局(FBI)のベストを着た要員たちはパスポートなどの身分証確認や顔写真撮影を行い、違反(が疑われる)者は「結束バンド」で手を縛って連行した。ある社員は「現地の人材教育のためにB1(商用)ビザを取って出張で来た韓国人社員も逮捕された」と言った。現地ではLGエネルギーソリューションと共に施工を担当している現代エンジニアリングの本社や協力会社の社員を含め、韓国人だけで約300人が連行されたとのことだ。合計約450人が逮捕された同日の作戦は、ニューヨーク・タイムズ、ロイター、NBC、ABCなどの外信でも一斉に報道された。
■相当数の韓国人社員を逮捕
今年末の完工を目標にしていた現代自動車とLGエネルギーソリューションのバッテリー工場の建設は全面中止となった。現代自動車の超大型自動車工場(HMGMA)とバッテリー工場が目標にしていた「2031年までに8500人雇用」という計画にも支障が出るのは避けられなくなった。他の韓国企業の現場でも取り締まりが行われる可能性が取り沙汰されている。サムスン電子はテキサス州にファウンドリー工場を建てており、SKハイニックスもインディアナ州に半導体パッケージング工場などを建設する予定だ。現代自動車は3万台規模のロボット工場、270万トン規模の電気炉製鉄所の建設を控えている。
米政府が海外企業の工場建設現場を取り締まるのは、米国人の雇用を増やせという圧力だ。だが問題は、工場建設や初期稼動に必要な水準の技術と専門性を持つ現地の人材を見つけるのが非常に困難だということだ。現地で工場を建設中のある韓国建設企業関係者は「米国人だけを雇用していたら工期を合わせるのは不可能だ。さまざまな問題を解決するには、韓国人技術者を急いで派遣してもらうしかない。『投資しろ』と言っておきながら、必要不可欠な人材のビザをくれないのだから、一体どうしろというのか」と語った。
米当局が韓国企業の工場建設現場を取り締まったのは初めてではない。2020年9月、SKイノベーションのジョージア州工場建設現場で作業していた韓国人労働者13人が電子渡航認証(ESTA)を所持して働いていた容疑で逮捕されたことがある。しかし、今回の事態は前例のない規模である上、トランプ政権の「関税爆弾」を避けるために多くの韓国企業が大規模な対米投資を進める中で発生したため、なおのこと衝撃が大きい。米国に数十兆ウォン(数兆円)もの投資を進めているある大企業の役員は「米国人の雇用を奪うのではなく、早く工場を建てて現地採用をするためのものなのに、そうした努力の代価が『不法滞在者』扱いだとは、むなしい」と語った。