米ジョージア州にある現代自動車グループ-LGエネルギーソリューションのバッテリー合弁工場建設現場で行われた米移民当局による不法移民取り締まりで、韓国人約300人が拘束されている。こうした中、保守系のニュース専門放送局FOXニュースが、取り締まりに遺憾の意を表明した韓国政府の対応に「移民法違反の事実を反省・謝罪するどころか怒りをあらわにした」「米国は70年以上も韓国の自由を守ってきたのに、全く自制しなかった」と批判した。これは、米国の利益を最優先視するMAGA(米国を再び偉大に)の見解を反映しているものだが、今回の事態を契機にドナルド・トランプ米大統領が出入国・ビザ政策の改善を示唆したことに関して「外国人労働者の採用をより容易にしようという方向に行ってはならない」と主張した。米移民税関捜査局(ICE)元局長代理で現在はホワイトハウスの「国境担当責任者」を務めるトム・ホーマン氏らは、現代自動車-LG合弁工場で今回行われたような「不法移民取り締まり」について「続けられるだろう」と意気込んでいる。
米FOXニュースでトーク番組を持つ保守系の女性司会者ローラ・イングラハム氏は9日、自身の番組で、ジョージア州での韓国人拘束問題を取り上げ「韓国人約300人のほとんどが適切な就労許可を得ていない状態だった」「しかし、韓国政府は自国の最大手企業のバッテリー製造工場が移民法に違反しているという事実に対して反省・謝罪するどころか怒りを見せた」と語った。また、趙顕(チョ・ヒョン)外交長官の発言を問題視し「法律が何と言おうと関係なく、カネで自国企業に対する米国内の就職の権利を買えると考えているようだ」と言った。今回拘束された韓国人の多くは短期商用ビザ(B-1)や、最長で90日までビザなしで滞在が可能な電子渡航認証システム(ESTA)などを通じて米国に入り、働いていたということだ。
イングラハム氏はMAGA陣営で影響力のあるジャーナリストの一人で、同氏の番組インタビューにはしばしばトランプ大統領が出演する。この日、番組にパネリストとして出席した保守派解説者でフーバー研究所のビクター・デイビス・ハンソン上級研究員は「韓国政府の反応に少々衝撃を受けた。過去75年間、米国は3万6000人の命と引き換えに韓国の自由をつくりだし、守ってきた。だから、韓国政府は性急に反応せず、ある程度自制するだろうと考えていたが、そうではなかった」と述べた。ハンソン上級研究員は2019年、『米国はなぜアウトサイダー・トランプを選んだのか』=韓国語タイトル。原題は『The Case for Trump』=という本を書き、辺境の人物だったトランプ大統領がどのように共和党を受け入れ、大統領候補指名を受け、大統領にまで上り詰めることができたのかを分析した人物だ。トランプ大統領は同書を公の場で賞賛したこともある。ハンソン上級研究員はトランプ政権最大の国政課題である不法移民追放に関して「国境を破って入ってきた人々を捜し出して処理・追放するのは非常に難しい。人々はこのような法執行を非道徳的と呼ぶ。これこそまさに私たちが経験するジレンマだ」と述べた。