韓国政府が今月7日、検察庁を廃止し、重大犯罪捜査庁(重捜庁)と公訴庁を新設する内容の政府組織再編案を発表した。その核心は「捜査と起訴の完全分離」だ。
再編案によると、検察の起訴機能は法務部傘下の公訴庁が持ち、汚職、選挙、経済など主な犯罪の捜査は行政安全部傘下の重捜庁が専門で担当する。これまで一部の犯罪に限って直接捜査を行ってきた検察は全ての捜査権を失うことになる。検事らは公訴庁に移籍し、検察総長は公訴庁長に任命される予定だ。現政府組織法に規定された「検察庁」は廃止され、「公訴庁」が新設される。
法曹界からは「検察庁廃止と捜査・起訴分離は憲法に反する」との指摘が出ている。高麗大法学専門大学院の車珍児(チャ・ジンア)教授は7日、本紙とのインタビューで、「憲法が予定した機関である『検察庁』を下位の法律で変えることは違憲だ」と述べた。車教授は4日の国会検察改革公聴会に出席した憲法学者の一人だ。
-検察改革公聴会に出席した経緯は。
「公聴会の前日に急きょ要請を受けた。徹夜で準備しながらも「既に答えが決まった形式行為であるはずなのに意味があるのだろうか」という絶望感を感じた。それでも国民が検察改革の問題点を正確に理解できるように憲法学者として最善を尽くさなければならないと考えた。たとえ結果が変わらなくてもだ」
-検察廃止のための形式的な公聴会だったという指摘もある。
「議員は勉強不足に見えた。民主党指導部が『こうしろ』と決めた党議決定に当てはめるやり方だった。党議決定過程で合理的な討論がなかったため、矛盾点さえ知らずに質問した。ある与党議員は『検察捜査の効率性と迅速性は必要ない』とも発言した。公職者として基本ができていない発言だと思った。無能で非効率的な国家でもいいということだが、そんなことを言う国会議員は国民を代表すると言えるのか」
-検察庁廃止が違憲だという違憲が多いが。
「検察庁廃止はそれ自体が違憲だ。検察庁は『憲法上の機関』だ。韓国憲法に『検察総長』という単語が明示されているためだ。憲法上の機関は名称を変更したり、その実質を変えたりしてはならない。憲法上の機関を下位の法律が変更すること自体が憲法違反だ」
-検察庁を「公訴庁」に変更することも違憲か。
「これまで述べたように検察庁は憲法に明示された機関だ。名称も権限も変えることはできない。憲法だけでなく、下位の法律の中でも同じだ。もし検察庁を公訴庁に変えることに全く違憲の恐れがなければ、「公訴庁は憲法上、検察庁を意味する」という式の追加規定を置く理由はなかったはずだ。民主党自らも違憲性を意識していたため、敢えてそういう規定を改正案に盛り込んだのではないか」
-検察の捜査・起訴分離は必ず必要なのか。
「捜査・起訴が分離されなければならないならば、真っ先に問題になるのは、高位公職者犯罪捜査処(公捜処)と内乱、金建希(キム・ゴンヒ)氏・海兵隊員殉職を捜査する3大特別検事だ。捜査・起訴権を全て持っているからだ。ところが政権の意向通りに仕事をするので、捜査・起訴分離の話が出てこない。むしろ、特別検事の権限は法改正で国会が拡大した。政権の妨害になる検察から捜査権を奪うための手段として検察改革を用いたため、辻褄が合わないのだ。捜査・起訴分離という命題が妥当でないことを示す自己矛盾だ」