韓国与党が導入目指す法律歪曲罪巡り最高裁が意見書「司法掌握の手段として悪用される恐れ」

 法院行政処は「憲法は裁判官に裁判上・職務上の独立を認め、法解釈と適用に幅広い裁量を認めているが、そうした裁判官の裁量と『法律歪曲』をどのように区分するかも容易ではない」とした。法律歪曲という概念が抽象的なので、恣意(しい)的に適用される危険性を指摘したのだ。 特に特定人に「有利または不利に」法律を歪曲した判事を処罰するという点に関しては「裁判での有利・不利は相対的かつ主観的なので、一方が有利ならば相手は不利にならざるを得ない」とし、「法の適用範囲を制限することは困難だ」との認識を示した。

 法院行政処は同時に「法律歪曲罪は裁判官の職務遂行を過度に萎縮させかねない」とし、「新しい世相を反映した前向きな判決、少数に対する人権保護などに障害となり得る」と懸念した。判事が事実関係を操作したり判決を故意に覆したりした場合、あえて法律歪曲罪を新設しなくても現行の裁判官弾劾制度などで十分に制裁できるとも指摘した。

 一方、法院行政処は民主党の大法院判事12人増員案に対しても事実上反対を表明した。法院行政処は「大法院判事の過半数または絶対多数が一度に任命されれば、政治的論争が発生し、後任の大法院判事を任命するたびに論争が繰り返される可能性が高い」とし、1~2年で1~2人ずつ順次増員する方策を検討すべきとした。

 大法院が公に反論したのは、民主党が李在明(イ・ジェミョン)大統領の公職選挙法違反事件での有罪趣旨の判決が出たことに対する報復立法に乗り出したとみているためだ。民主党は昨年、法律歪曲罪の導入を初めて推進した際、適用対象を検事に制限したが、李大統領の公職選挙法事件の審理が差し戻されたことを受け、対象を判事にまで広げた。民主党の金容民(キム・ヨンミン)国会議員らは、判事を狙った法律歪曲罪法案3件を相次いで提出し、現在国会法制司法委で審議待ちの状況だ。民主党の鄭清来代表は最近、曺喜大大法院長の辞任を迫り、「適用すべき法を誤って適用し、存在しない罪を有罪とし、存在する罪を無罪と判決した判事は法律歪曲罪で処罰しなければならない」と述べた。

 これに関連し、野党国民の力は「李大統領一人のための違憲的で反民主的立法」だとして反発している。同党の宋錫俊(ソン・ソクチュン)国会議員は「李大統領に有罪判決を下した判事を処罰し、関連事件を無罪にするための法律制定で、独裁政権でのみ可能な発想だ」と批判した。

パン・グクリョル記者

【写真】「チョヨトミヒデヨシ」 韓国国会でチョ・ヒデ最高裁長官の合成写真を掲げる議員

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