李在明(イ・ジェミョン)大統領は4日の施政方針演説で「AI(人工知能)」という言葉を26回使い「政府の来年度予算案はAI時代を切り開く大韓民国として最初の予算案だ」として「来年度はAI分野の予算として今年度の3倍に相当する10兆700億ウォン(約1兆1000億円)を配分した」と説明した。
【写真】野党・国民の力は欠席 728兆₩「スーパー予算」施政方針演説の様子
このように李在明大統領が施政方針演説でAIを全面的に打ち出したことを反映し、韓国政府は来年度予算案の増加幅を過去最大となる54兆7000億ウォン(約5兆8200億円)とした。これについて韓国政府は「『AIへの大転換』に伴うやむを得ない措置」と説明している。しかし表向きはAIを強調しているが、実際はAIだけで728兆ウォン(約77兆5000億円)に達した来年度の「スーパー予算案」について説明できない。来年度のAI関連予算は、今年度13兆ウォン(約1兆4000億円)に達した庶民向け経済対策の消費クーポンの財源を含む「李在明印のポピュリズム予算に比べてはるかに少なく、また事業内容も数十に分散されているため「中身がない」との指摘もある。
■AI予算は消費者クーポン予算以下
韓国政府は「AI三大強国」という目標を掲げ、来年度のAI関連予算として10兆1000億ウォンを配当した。これは今年度の関連予算3兆3000億ウォン(約3500億円)の3倍以上に相当する。
表向きはAI関連予算が一気に増額されたようにも見えるが、実際は李在明大統領が進める複数の現金支給政策と比べればむしろその額は小さい。韓国政府は今年度2回にわたる補正予算で総額13兆ウォン規模の消費クーポンを全国民に配布した。AIに巨額の投資を行うとしながらも、国民1人に15万-55万ウォン(約1万6000-5万9000円)の現金をばらまくための予算に比べて3兆1000億ウォン(約3300億円)ほど少ないのだ。
消費クーポンだけではない。李在明大統領の「代表ブランド」とされる「地域サラン(愛)商品券」(地域通貨)などの発行を支援する「民生・社会連帯経済予算」も今年度の17兆6000億ウォン(約1兆8700億円)よりも49%多い26兆2000億ウォン(約2兆7900億円)が来年度予算案に含まれている。これはAI関連予算の2.5倍に相当する。李在明大統領が京畿道知事だった当時から訴えてきた基本所得を一部の地域で推進する「農漁村基本所得テスト事業」、「全国に10のソウル大学を設立する」として進めている「拠点国立大学集中育成事業」などを推進する「地方拠点成長予算」も今年の19兆ウォン(約2兆円)に比べて54%多い29兆2000億ウォン(約3兆1100億円)だ。これもAI関連予算のほぼ3倍に達する。AIを強調しながら実は「李在明印」のポピュリズム予算の方に重点が置かれているのだ。