米国のドナルド・トランプ大統領が再び政権を取った後、最初に日本を訪問し、10月28日に高市早苗首相と首脳会談を行って「米日同盟の黄金時代が到来した」と宣言する中、この日の会談では見慣れぬ顔がカメラに捉えられ続けた。高市首相に密着して通訳を担当した高尾直・外務省日米地位協定室長だ。高尾室長は、トランプ大統領が「偉大な友人」と呼ぶ故・安倍晋三元首相の英語通訳出身で、「ブロマンス(bromance・男性同士の特別な友情)」を誇示していたトランプ大統領と安倍元首相が対面するたび、その場にいた人物だ。トランプ大統領が「小さな首相のようだ」「これほど有能な外交官がいるとは知らなかった」と高く評価したほどの親しみぶりで、主要な瞬間になるたび、日本外交の「リリーフ」として呼び出され、登板している。
米国生まれの高尾氏は、ネーティブレベルの英語の実力を誇るといわれている。中学3年のときに日本へ渡り、東京大学法学部を卒業。2003年に外務省入りしてハーバード大学ケネディ・スクールで修士号を取った。主に北米業務を担当し、ワシントン・北京の公館で勤務した経歴もある。高尾氏は専門通訳者ではない職業外交官出身だが、16年に当時の安倍首相が金のゴルフクラブを持ってニューヨークのトランプ・タワーでトランプ大統領と会ったときから、英語通訳を引き受けてきた。14回の首脳会談、36回の電話会談、5回のゴルフ会合など、トランプ大統領と安倍首相が言葉を交わす瞬間のほとんどに陪席してきた生き証人なのだ。特に両首脳のゴルフ会合中、カートの後部座席に同席して安倍首相の日本語を英語で伝える様子が大きな話題になり、「スーパー通訳」という別名も付いた。