「ストリートファッション(若者が好むラフなスタイルの服)系のブランドを着て限定版のスニーカーを履いている」「IT機器のトレンドにいち早く乗って、積極的に消費している」「最新の流行語に詳しい」…。
【イラスト】韓国で嘲笑される「ヤングフォーティー」のイメージ
これらは最近インターネットで出回っている「ヤングフォーティー自己診断チェックリスト」の一部だ。「ヤングフォーティー」とは、「若い(ヤング)40代(フォーティー)」を意味する。自己診断で高得点だった40代は「自分は中年にしては若いんだな」と喜ぶべきなのか。いや、違う。むしろ、反対かもしれない。ヤングフォーティーという言葉は10年ほど前に初めて登場した。当時は、これまでの中年とは違う「トレンドに敏感で若者風のものを楽しむ40代」を肯定的に表現する言葉だった。しかし今では「若者ぶってる老害オヤジ」という意味で使われる。サイバー空間には、ヤングフォーティーをあざ笑うようなコンテンツがあふれている。自己診断チェックリストもその一つだ。「ヤングフォーティー」がよく着ているブランドをお腹の出ている中年男性に合成したAI画像も出回っている。
ヤングフォーティーをあざ笑う風潮は、主にMZ世代(1980年代初め-2000年代初め生まれ)が主導している。専門家らは「MZ世代が感じている挫折感と相対的剥奪感を反映したものだ」と分析する。MZ世代は雇用不安や住宅価格の急騰、景気低迷という状況に置かれ、チャンスのドアが閉ざされた時代を生きている。MZ世代から見れば、ヤングフォーティーは相対的に運のよかった世代だ。ヤングフォーティーが社会に踏み出した頃は今より就職がしやすく、不動産価格が今のように高騰する前だったため、マイホームを購入するチャンスもあった。MZ世代にとってヤングフォーティーは、今の時代にはほとんど手にできないチャンスをつかみ、そのチャンスを生かして社会的・経済的基盤を固めた既得権世代なのだ。そんなヤングフォーティーが若者のトレンドを追う姿を見て、MZ世代はマウントを取られているように感じ、反感を持ってしまったという分析だ。
ほとんどの40代・50代は、積極的なキャリア形成や徹底した自己管理によってプラスのイメージを積み上げている。ヤングフォーティーにも言い分はある。韓国が国際通貨基金(IMF)の救済を受けた1997年の通貨危機や、(リーマン・ショックに端を発した)世界金融危機を経験した。その過程で終身雇用の概念は消えた。終わりのない自己開発とアップデートが生き残りの条件となった。変化のスピードに追い付けなければ「老いぼれた人」という烙印(らくいん)を押されてしまう、そんな現実の中で生きている。MZ世代に向かって「年齢は罪なのか」と反論したくなるのも無理はない。しかし、見た目だけは若者感覚をアピールしているものの、中身は「老害オヤジ」そのものというヤングフォーティーが少なくないのが事実だ。