尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の内乱・外患容疑を捜査している特別検察官(特検)チームが10日、尹錫悦政権時に行われた韓国軍の「平壌無人機潜入作戦」が韓国刑法上の一般利敵罪に該当するとして、尹・前大統領と金竜顕(キム・ヨンヒョン)元国防相、呂寅兄(ヨ・インヒョン)元国軍防諜(ぼうちょう)司令官を追加で起訴した。12・3非常戒厳を宣布するための条件をつくり上げるため、対北軍事作戦で危機をつくり出した―というのだ。特検が刑法上の外患容疑で尹政権関係者を裁判にかけたのは初めてだ。3人は内乱容疑などで既に勾留されている。
特検関係者は10日のブリーフィングで「尹錫悦・金竜顕・呂寅兄などは共謀して非常戒厳を宣布できる条件をつくり上げるための目的で、南北間の武力衝突の危険を増大させるなど、大韓民国の軍事上の利益を阻害した」とし「3人を一般利敵および職権乱用の容疑で起訴した」と発表した。特検は、尹・前大統領の側近である金竜顕・呂寅兄の両被告が無人機作戦全般に深く関与したものとみている。二人は沖岩高校出身で、尹・前大統領の同窓生だ。
特検は、被告らが「無人機作戦は戒厳宣布のためのもの」だという「意図」を認識して作戦の計画・準備・実行の全てに関与したとみている。特検は、その証拠として呂・元司令官の携帯電話で見つけたメモを提示した。昨年10月に作成された呂・元司令官の携帯電話メモには「不安定な状況をつくったりつくり出された機会を捉えたりするべきだ。最終状態は低強度ドローン紛争の日常化」「敵の戦略的武力誇示の際、これを軍事的名分化できるだろうか」といった内容が含まれていた。メモには、北朝鮮が(挑発に)必ず対応することは避けられない「ターゲット」として平壌、核施設2カ所、金正恩(キム・ジョンウン)総書記の休養先、三池淵などに言及した内容も含まれていた―と特検は明かした。特検は、非常戒厳宣布前に作成された呂・元司令官の携帯電話メモには「布告令違反の最優先検挙および押収・捜索」という内容もあったと明かした。特検はまた、ノ・サンウォン元情報司令官の手帳のメモを根拠に、尹・前大統領などの戒厳の話し合いが始まった時期について、検察が当初考えていた2024年3月より5カ月早い23年10月と判断し、裁判進行中の内乱事件の起訴状を変更する予定だ。