原子力潜水艦の保有を目指す韓国にとって必要なこと【寄稿】

トランプ大統領の同意で一気に動き出す可能性はあるが祝杯は時期尚早
韓国の核武装を警戒する米国は「軍事技術への転用」などに制約
韓米両国の同盟強化と結束が絶対条件

 現在世界には130隻の原子力潜水艦が存在する。内訳は米国66隻、ロシア31隻、中国12隻、英国10隻、フランス9隻、インド2隻だ。原子力潜水艦を分類すれば核武装潜水艦と原子力推進潜水艦に区分できる。核武装潜水艦は敵国の先制攻撃に備えて報復用の核兵器を持ち、通常は深海に隠れている。いわば核兵器による報復能力の維持がその目的だ。このように海底に潜み核兵器で敵国の攻撃に備える大型の原子力潜水艦を弾道ミサイル搭載原子力潜水艦(SSBN)とも呼ぶ。

【写真】釜山港に入港する米海軍ロサンゼルス級原子力潜水艦「コロンビア(SSN-771)」

 これとは別に核兵器を持たず敵の潜水艦や海軍艦艇を監視・追跡・破壊する目的の原子力潜水艦も存在する。これは攻撃型原子力潜水艦(SSN)と呼ばれる。価格はディーゼル潜水艦の数倍と高価だが、原子力エンジンの騒音が大きいという弱点がある。しかし潜行時のスピードはディーゼル潜水艦の2倍に達し、また数カ月にわたり潜行が可能で遠洋での作戦に非常に適している。米国が2021年にAUKUSを結成しオーストラリアへの提供を決めた原子力潜水艦はこのタイプで、韓国が保有を目指すのもこれだ。

 先日の韓米首脳会談を受け韓国の原子力潜水艦保有問題が国内で大きな注目を集めている。潜水艦に使用する核燃料の提供を米国に要請したところ、トランプ大統領は米国での建造を提案した。米国が原則的に同意したことで計画は一気に進む可能性もあるが、祝杯を挙げるのはまだ早く、乗り越えるべきハードルは数多く残っている。まず韓国の原子力潜水艦プロジェクトが最終的に実現するまで米国大統領は少なくとも2-3回交代するため、これに伴って予想されるハードルは少なくとも四つある。

 一つ目は米国の核拡散防止政策だ。地球上の全ての原子力発電所と原子炉は毎年少なくとも1-12回IAEA(国際原子力機関)の査察を受け、24時間365日IAEAが設置した監視カメラでリアルタイムの監視を受けている。しかし潜水艦に搭載された原子炉は軍事用のためIAEAの監視対象ではなく、また物理的にも監視は不可能だ。現在も未来も米国政府や議会はこの隙を突いた韓国の核武装を警戒しているため、韓国の原子力潜水艦保有に反対する可能性は十分考えられる。まずはこの反対に備えなければならない。

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