■不動産を買いだめ、政界工作にも使用
大庄洞事業で巨万の富を得ると、不動産物件を攻撃的に買い入れた。天火同人5号のオーナー、チョン・ヨンハク氏は2020年、ソウル市江南区新沙洞のビルを家族名義で173億ウォンで購入した。南旭氏も翌年、ソウル市江南区駅三洞の建物を300億ウォンで購入。金万培氏は19年末から本人と家族名義でソウル市市陽川区木洞の一戸建て住宅8棟、ソウル中浪区の建物、京畿道水原市の土地などを取得した。現時点でこれらの不動産の評価額は購入時より上昇している。
彼らが上げた収益は法曹界や政界にも流れた。金万培氏と親交のある郭尚道(クァク・サンド)元国会議員の息子は21年4月、火天大有を退社し退職金と賞与の名目で50億ウォン(税引き後25億ウォン)を受け取った。金万培氏に近い朴英洙(パク・ヨンス)元特別検察官の娘も19年から21年にかけて火天大有から貸与の名目で5回にわたり11億ウォンを受け取ったという。郭元議員と朴元特別検察官は起訴されたが、この金銭供与の部分では一審で無罪となった。
李在明(イ・ジェミョン)大統領の側近である金湧(キム・ヨン)元民主研究院副院長も大庄洞事業の便宜を図り、その見返りに違法政治資金と賄賂を受け取ったとして、裁判を受けている。金元副院長は二審で懲役5年を言い渡され、大法院に上告している。
■検察の控訴断念で追徴不可能に
これに先立ち、検察は22年と23年の2回にかけ、民間業者が実名または名義借りで保有していたた土地・建物、預金など2070億ウォン余りの財産について、裁判所から追徴保全命令を受けた。今後の裁判で追徴を行うことに備え、被告らが犯罪収益を横領できないようにするため凍結したものだ。
しかし、一審は金万培氏に428億ウォン、城南都市開発公社の柳東珪(ユ・ドンギュ)元企画本部長に8億ウォン、同公社のチョン・ミンヨン元チーム長に37億ウォンの追徴を行うにとどまった。南旭、チョン・ヨンハクの両氏には追徴がなかった。こうした状況で検察が控訴を断念したことで、南旭、チョン・ヨンハクの両氏に対する追徴額は事実上ゼロに確定した。検察の控訴断念により、金万培氏に対する追徴額も一審の428億ウォンより低くなる可能性が高い。検察としては、一審の追徴額を上回る財産を凍結する法的根拠がなく、民間業者が追徴保全解除を求めれば、解除に応じなければならない状況だ。
パン・グクリョル記者