旧統一教会は与党・共に民主候補4人にも政治資金を提供、特検は野党・国民の力のみ起訴

姜琪正氏、李光宰氏、李庸燮氏、金瑛録氏に
2022年地方選挙時 少なくとも数百万ウォン
法曹関係者「国民の力をターゲットにした選択的起訴」

旧統一教会は与党・共に民主候補4人にも政治資金を提供、特検は野党・国民の力のみ起訴

 尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の配偶者・金建希(キム・ゴンヒ)夫人を巡る事件を担当している閔中基(ミン・ジュンギ)特別検察官(特検)チームの捜査過程で、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)が野党・国民の力だけでなく、与党・共に民主党所属の政治家たちにも教団の資金を利用して「分割支援」をしていたことが2日、確認された。しかし、特検チームは「共に民主党の支援金は組織的指示の有無が明らかになっていない」として、韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁らを起訴する際、こうした点を犯罪容疑から除外したため、議論を呼んでいる。法曹関係者の間では「野党の政治家だけをターゲットにした選択的起訴だ」という批判の声が上がっている。

【図】旧統一教会から韓国政界へ政治資金提供

 特検は今年10月、韓鶴子総裁と鄭元周(チョン・ウォンジュ)元秘書室長、尹鍈鎬(ユン・ヨンホ)元世界宣教本部長らについて、国民の力の市・道党および党協委員長20人に対し1億4400万ウォン(約1500万円)を数人の名義に分けて支援した容疑(政治資金法違反)で起訴した。特検は起訴当時、「韓鶴子総裁は2022年3月、旧統一教会の資金で国民の力の広域市・道党に支援することを指示した。尹鍈鎬元本部長は計2億1000万ウォン(約2200万円)を五つの地区(地域教区)に送り、このうち1億4400万ウォンが国民の力側に渡された」と述べた。

 だがこの過程で、一部地域で共に民主党所属の前職・現職地方自治体首長にも支援金が渡されたことが明らかになった。全羅道地域を担当する旧統一教会の関係者はこのほど、特検の事情聴取に「2022年に姜琪正(カン・ギジョン)光州市長、李庸燮(イ・ヨンソプ)前光州市長、金瑛録(キム・ヨンロク)全羅南道知事を支援した」と供述したという。旧統一教会がこれらの人物たちに支援した金額は数百万ウォン(数十万円)台だとのことだ。京畿道・江原道地域を担当する地区でも同年、李光宰(イ・グァンジェ)共に民主党江原道知事候補=当時=に支援していたことが調査で分かった。旧統一教会の関係者は「当時、各地域の現場の状況に合わせて支援したと聞いている」と語った。

 ところが、特検は旧統一教会が共に民主党の政治家を支援したことについては犯罪容疑がないと判断した。特検関係者は「共に民主党に流れた支援金が教団の資金なのかどうか確実ではなく、たとえ教団の資金だったとしても、上層部の指示で組織的に行われた支援だと見なす証拠が不足している」と語った。これに対して、部長検事を務めた経験のある弁護士は「政治資金法上、法人や団体の資金を利用して政治家に寄付する行為は禁止されている。犯罪の状況がうかがえるのにもかかわらず、特検は意図的に排除したようだ」と言った。

 これに関して、李在明(イ・ジェミョン)大統領は2日、「政教分離は誠に重要な原則だが、それに反して宗教財団が組織的・体系的に政治に介入した事例がある。これは憲法違反行為であり、非常に深刻な事案だ」と述べた。この発言は、国民の力に違法な政治資金を渡した疑惑が持たれている旧統一教会を念頭に置いたものだと受け止められている。

キム・ナヨン記者

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