旧統一教会政治献金疑惑 与党・共に民主は見逃して野党・国民の力だけ起訴した特別検察官こそ捜査を受けるべきだ【12月8日付社説】

 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)世界宣教本部長だった尹鍈鎬(ユン・ヨンホ)被告が、「文在寅(ムン・ジェイン)政権時の与党・共に民主党議員らに政治資金を渡した」と特別検察官(特検)チームに対して供述したという。問題の特検は尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の配偶者・金建希(キム・ゴンヒ)夫人の各種疑惑を捜査している閔中基(ミン・ジュンギ)特検だ。しかし、同特検は、共に民主党については捜査すらせず、野党・国民の力に対する旧統一教会の政治資金提供容疑だけを捜査して起訴した。これは政治的中立を規定した特検法違反であり、職務放棄・職権乱用に当たる。特検の捜査自体が捜査対象にならざるを得ない。

【表】22年大統領選挙で旧統一教会が接触を試みた与野党関係者リスト

 当初伝えられた共に民主党関連の政治資金問題は、尹錫悦政権時に旧統一教会本部が「国民の力を支援せよ」として渡した資金のうち、一部を地域組織が任意で共に民主党に渡したという程度の疑惑だった。これ自体も法人資金の寄付を禁止した政治資金法違反である可能性があるが、特検側は「個人の逸脱(した行為)に過ぎず、教団の組織的犯罪ではない」という理由で捜査しなかったという。だが、共に民主党に対する支援も旧統一教会団が主導した組織的行為だったとする責任者の供述が捜査の過程で既に出ていたというものだ。

 尹鍈鎬被告の特検での供述内容は具体的だ。文在寅政権当時、共に民主党の元議員・現議員2人に数千万ウォン(数百万円)を渡し、そのうち1人には高価な時計まで与えていたという。2人は京畿道加平郡の旧統一教会施設まで行き、韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁に会ったとも供述したとのことだ。文政権時に旧統一教会側と関係があった長官級4人と与党議員のリストも特検に渡したそうだ。こうした供述を確保しながらも捜査しなかったのだ。その一方で、特検は今年10月、国民の力の関係者20人に旧統一教会の資金1億4400万ウォン(約1500万円)を違法に支援したとして尹鍈鎬被告を起訴した。同じ旧統一教会から金銭を受け取っても、野党はダメで、与党は構わないということなのだろうか。

 今年7月に発足した閔中基特検は、強引な捜査が問題となり、特検自体が疑惑の対象になっている。京畿道楊平郡庁の公務員が特検の事情聴取後、自ら命を絶った事件と関連し、特検捜査官4人が公務員に持続的に圧力を加えたり、懐柔をしたりしていた疑いで捜査対象になった。特検独自の監察では告発・懲戒処分をしなかった事案だ。閔中基特検自身も捜査対象である金建希夫人と同じ会社の株を購入したが、釈然としない多額の差益を上げていた事実が明らかになった。それにもかかわらず、共に民主党関連疑惑をもみ消したように、自身の疑惑にも具体的な釈明もせずに沈黙している。このすべてが犯罪的行為であり、捜査対象だ。

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  • ▲尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の配偶者・金建希(キム・ゴンヒ)夫人の各種疑惑を捜査している閔中基(ミン・ジュンギ)特別検察官(特検)。写真=news 1

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