タイ空軍F16戦闘機、カンボジアの「カジノ団地」を爆撃

タイ空軍、「偽カジノ」を狙った爆撃だと主張

タイ国軍「犯罪拠点であり、ドローンのコントロールセンター」

尻尾を巻いたカンボジアの対話提案に、タイ側は「代償を払わせてやる」

 タイ・カンボジア間の国境紛争が、単純な交戦にとどまらず空軍力まで動員した全面戦の様相へと激化しつつある。双方の兵士や民間人など13人が死亡する中、タイ空軍所属のF16戦闘機が12月9日(現地時間)、カンボジアの国境地域にあるカジノの建物を爆撃した。「バンコク・ポスト」や「タイPBS」など現地主要メディアは、軍当局の話を引用して「当該建物は、表向きはカジノの看板を掲げていたが、実際にはドローン作戦のコントロールセンターとして運用されていた」という主張を報じた。

【写真】タイ国軍が「カジノ団地」を爆撃している様子と火災が発生した建物

 タイ国軍は、この「偽カジノ」の屋根にタイ側のドローンを無力化する電波かく乱のアンテナがあることを識別し、当該施設が軍事および犯罪目的に転用されていると判断して、施設の80%を壊滅させた―と発表した。タイは、このほかにもカンボジア領内に侵入し、武器の貯蔵庫として使用されてきたカジノも爆撃したと伝えられている。

 タイ国軍の今回の攻撃は、国境地域に毒キノコのように広がる「犯罪団地」を狙った精密打撃作戦として実施された。東南アジア地域のオンライン詐欺組織を追跡している専門団体「サイバースカム・モニター(CyberScam Monitor)」は、X(旧ツイッター)を通して「タイ国軍が国境地帯のボイスフィッシング犯罪拠点を集中攻撃している」と伝えた。同団体はこれまで「過去12カ月間、タイ・カンボジア国境地域で詐欺犯罪拠点が急激に拡大した」とし、カンボジアのオスマック(O’Smach)などにある「カジノ団地」について、実際には拉致・監禁・強制労働が横行する犯罪の巣窟だと指摘してきた。

 今回の事態はささいな銃撃戦から始まったが、民間施設が攻撃されたことで収拾がつかないほど拡大した。12月7日午後2時、タイのシーサケート県の国境地域でカンボジア軍がタイ国軍の哨所に向けて銃器による射撃を加え、タイの軍人2人が負傷したことで武力衝突が始まった。タイ国軍は直ちに対応射撃に乗り出したが、カンボジア側はロケットランチャー(RPG)まで動員し、8日未明には戦線を拡大してタイのブリ―ラム県の空港やスリン県プラサート郡の病院など民間施設を攻撃した。この過程でタイの軍人1人が死亡した。

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