タイ空軍F16戦闘機、カンボジアの「カジノ団地」を爆撃

タイ空軍、「偽カジノ」を狙った爆撃だと主張

タイ国軍「犯罪拠点であり、ドローンのコントロールセンター」

尻尾を巻いたカンボジアの対話提案に、タイ側は「代償を払わせてやる」

 タイ政府は、相手が強く出るなら受けて立つという「強対強」の対峙(たいじ)の中で、一切の妥協を拒否している。タイのアヌティン・チャーンウィラクン首相は8日に国家安全保障会議(NSC)を緊急招集した後、テレビ演説で「これ以上の交渉はない(No negotiations)」とくぎを刺した。アヌティン首相は「彼らが先に始めた。われわれはそれ相応の代償を払わせてやる」と、事実上の局地戦も辞さないという意志を鮮明にした。タイ陸軍報道官のウィンタイ・スバリ少将は「単純な威嚇射撃ではなく、殺傷の意図が確認された」とし「カンボジアのロケット基地と火力支援システムを壊滅させることが作戦の最終目標」と強調した。

 逆に、守勢に追い込まれたカンボジアは、それとなく対話のジェスチャーを繰り出した。AP通信によると、カンボジアのフン・マネット首相の最側近である上級顧問のスオス・ヤラ氏は10日、「双方が同意しさえすればすぐに、1時間以内にもテーブルに着くことができる」として緊急会談を提案した。スオス・ヤラ上級顧問は「われわれは永遠に隣人として生きねばならない。これは、お前を殺して自分も死ぬというゲーム(Lose-lose game)」だと訴えたが、タイ外務省は「外部の仲裁は必要ない。カンボジアがまず真剣さを見せるべき」と一蹴した。事実上、米国のドナルド・トランプ大統領が誇っていた休戦合意が水泡に帰したことを意味する。

 外交関係者の間では、今回の衝突を単なる領土紛争にとどまらない、米中派遣競争の代理戦という様相で分析している。米国が最近、対中けん制の観点から、代表的な親中の国であるカンボジアを懐柔しようと力を入れたことにより、米国の長年の友邦であるタイが疎外感を抱き、過剰対応しているというのだ。マルコ・ルビオ国務長官が10日、緊急声明を出して「即時の戦闘中止」を求めたが、トランプ大統領の「関税圧迫」カードすら通用しない状況で、米国の仲裁力が試されている―という分析が支配的だ。

アン・ジュンヒョン記者

【写真】タイ国軍が「カジノ団地」を爆撃している様子と火災が発生した建物

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