「12・3非常戒厳は違憲・違法」 軍OBノ・サンウォン元司令官に懲役2年…内乱特検の起訴事件で初の一審判決

 いわゆる「不正選挙捜査団」を立ち上げるために国軍情報司令部の要員の個人情報を不正に取得した容疑で起訴されたノ・サンウォン元情報司令官(63)に対し、一審で実刑が言い渡された。趙垠奭(チョ・ウンソク)内乱特別検察官(特検)が起訴した事件の中では初めて一審判決が出た。

【表】「ノ・サンウォンは非常戒厳の設計者」 特検の見立て

 ソウル中央地裁刑事21部(裁判長:李炫馥〈イ・ヒョンボク〉部長判事)はこの日、ノ元司令官の個人情報保護法違反およびあっせん収賄事件の判決公判を開き、懲役2年・追徴金2490万ウォン(現在のレートで約263万円。以下同じ)を言い渡した。裁判部は「被告の犯行は実体的要件を備えていない非常戒厳が宣布段階にまで至る動力の一つになった」とし「単純な個人情報保護法違反やあっせん収賄の犯行の罪責にとどまらず、違憲・違法な非常戒厳宣布という重大で、大変な結果を引き起こしたという点から、厳重な責任を問わないわけにはいかない」と判示した。

 ノ元司令官は昨年9月から12月にかけて、既に除隊した民間人の身分でありながら、不正選挙疑惑を捜査する秘密組織「第2捜査団」を企画し、当時のムン・サンホ情報司令官などに同司令部の要員46人の階級と出身、任官年度など人的事項を要求して取得した疑いにより起訴された。裁判部は「被告の犯行は戒厳宣布前の、2024年10月中旬以前から、戒厳の要件が充足されるかどうかとは無関係に特定の時期に戒厳宣布を行うことを計画し、準備・遂行する行為の一環として行われたものだと判断される」「これは違憲的かつ違法な行為」だとした。ただし裁判部は、ノ元司令官が取得した要員の名簿はノ元司令官のほか軍外部に流出したとは思われないこと、請託あっせんも失敗に終わったことを量刑面で考慮した。

 ノ元司令官は昨年8月から10月にかけて、キム・ボンギュ元情報司令部中央尋問団長(陸軍大領=大佐に相当)と具三会(ク・サムフェ)陸軍第2機甲旅団長(陸軍准将)から、昇進の手助けという名目で現金2000万ウォン(約210万円)とデパート商品券600万ウォン分(約63万円)を受け取った疑いも持たれている。これについて裁判部は「キム大領と具准将の供述には信ぴょう性が認められ、供述と口座の取引内容や商品券購入内訳などの証拠が一致する」とし「キム大領から現金1500万ウォン(約160万円)と商品券600万ウォン分を受け取った事実、具准将から現金500万ウォン(約53万円)を受け取った事実が認められ、その金品はいずれも昇進請託の見返りという性格が認められる」と判示した。

 12・3非常戒厳事態の「裏の企画者」に挙げられるノ元司令官は、金竜顕(キム・ヨンヒョン)前国防相などと共に同地裁刑事25部(裁判長:池貴然〈チ・グィヨン〉部長判事)で、内乱容疑により別途裁判を受けている。この裁判は今月、尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の内乱首謀者事件と一つに併合され、来年2月ごろ判決が出る見込みだ。

キム・ウンギョン記者、イ・ミンジュン記者

<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
関連フォト
1 / 1

left

  • ▲ノ・サンウォン元国軍情報司令官/写真提供=ソウル中央地裁
  • 「12・3非常戒厳は違憲・違法」 軍OBノ・サンウォン元司令官に懲役2年…内乱特検の起訴事件で初の一審判決

right

あわせて読みたい