米巡洋艦が撃ったミサイル、なぜ2度も味方のF18を攻撃したのか

1機は撃墜され、1機は辛うじて回避
敵味方識別システムの誤作動、レーダーシステムの可動範囲縮小などの状況下でフーシ派のドローン・ミサイルが殺到…「迎撃」命令を下した艦長

 この日、ハリー・S・トルーマンCSGは2次大戦後最も激しい戦闘をくぐり抜けた。CSGは、紅海に入ってからわずか1週間後の12月21日、フーシ派に対して猛烈な爆撃を加えた。そしてフーシ派の反撃はわずか数時間後に行われた。フーシ派が「予想よりも早く」反撃を行い、ドローンと対艦ミサイルを浴びせてきたことで、巡洋艦ゲティスバーグは当惑した。

 メディアの取材に応じた米海軍の高官は、同士打ち事件が発生した主な原因として「巡洋艦ゲティスバーグとCSGを再統合する訓練の機会が不足していたこと」を指摘した。

 ゲティスバーグはこれまでハリー・S・トルーマンCSGとは離れて、別個にフーシ派攻撃を行っており、事件発生3日前にようやく紅海に復帰した。それまでの45日間、同艦がCSGと共に作戦を行った時間は全体の15%に過ぎなかった。

 復帰したゲティスバーグは、CSGの対空防衛司令部の役割を務めたが、全ての戦闘機・軍艦と作戦を同期することに費やせる時間は極めて限られていた。フーシ派の反撃に備えた事前任務計画にも参加できなかった。

 最終的に、雨のように降り注ぐフーシ派のミサイル・ドローン攻撃の中で、ゲティスバーグの中枢を担う乗組員には、自分たちが何を目標に射撃をしているのかについて混乱があり、誤認撃墜につながった。この過程で「発射中止」命令は無視されたり、きちんと届かなかったりした。空母と巡洋艦は、しばしば相反する情報を乗組員に提供した。

 しかもSM2ミサイルの発射前、MH60Rシーホーク・ヘリコプターが巡洋艦ゲティスバーグに着艦作業中であり、同艦のSPY1レーダーの探知範囲を交戦直前まで縮小しなければならなかった。当時、上空で作戦中だったE2Dホークアイ早期警戒機のレーダーにも問題があった。

 米海軍のアセット(軍事資産)の位置情報・監視情報・武装運用調整・航空管制情報を交換する「リンク16」戦術データリンク・システムには問題が発生していた。リンク16は、あらゆる戦力アセットを一つの戦場地図上で共有する戦闘ネットワークだ。調査の結果、ゲティスバーグのリンク16は同士打ち事件の数日前から、何時間か不通になっていた。

 リンク16とつながっている敵味方識別装置(IFF/Identification Friend Or Foe)も、何度も故障を起こした。

 それにもかかわらず乗組員たちは、こうしたシステム障害を指揮系統にきちんと報告しなかった。そのせいで米軍の戦闘機を撃墜してしまった際、モニター要員は、ターゲットが実は「スーパーホーネット」FA18Fであると識別すべきIFFシステムがきちんと作動していない、ということを知らなかった。

 米海軍は、誤認撃墜事件の数カ月後、巡洋艦ゲティスバーグが抱えていたさまざまなシステム上の問題、兵力の熟達が十分でなかったことなどの状況を考慮すると、艦長を務めていたジャスティン・ホッジス大佐の交戦決定は「責任感や慎重さに欠け、予防しようとする意志も弱かった」として大佐を補職から解任した。

李哲民(イ・チョルミン)記者

【写真】タイコンデロガ級巡洋艦がSM2迎撃ミサイルを発射する様子

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