しかも、半導体クラスターの全羅道移転論やセマングム代替論を支えるインフラは事実上皆無だ。半導体工場は電気と水が生命線だ。セマングム開発庁によると、同地区の現在の発電能力は太陽光で0.3ギガワットだ。サムスンとSKが竜仁で必要とする15ギガワットの50分の1にすぎない。先月、セマングム開発庁の金宜謙(キム・ウィギョム)庁長は昨年12月、2030年までに発電能力を5ギガワットに高めると言ったが、李在明大統領でさえ「物理的に可能なのか」と問い返したほどだ。半導体業界関係者は「電力規模も問題だが、0.01秒の停電も許されない半導体工程の特性上、天候に左右される太陽光や風力に依存するのはリスクがあまりにも大きい」と話した。
■半導体業界の懸案に絡む政治的論理
水の問題も同じだ。サムスン電子の竜仁半導体工場の操業には1日76万トンの水が必要だ。漢江水系の八堂ダムが近い竜仁は、1日数十万トンの工業用水を確保することが可能だ。一方、移転候補地として取り上げられているセマングム地域などの場合、現地ダムの余裕貯水量は2万トン余りにすぎない。
半導体の超格差を維持する上で重要なのは修士・博士級の高級人材だ。韓国半導体産業協会による調査の結果、関連専攻者の73.2%が首都圏勤務を希望した。工場は移転できるかもしれないが、人の心を強制的に移すことはできない。無理に地方に移転するならば、高級人材にそっぽを向かれるのが現実だ。数百社の下請け企業とASML、ラムリサーチなど世界的な設備メーカーも既に首都圏を中心に形成された半導体生態系も政府の一言では移転させられない。半導体業界は全羅道が人材、用水、生態系などのインフラを整えるのに少なくとも10年前後かかるとみている。
半導体の権威である黄哲盛(ファン・チョルソン)ソウル大碩座教授は「地域の均衡発展という論理も現実を直視する必要がある」とし、「まだ埋め立てさえ完了していない(セマングムのような)地域に電力、用水、交通、定住条件をすべて備えた半導体クラスターを整備するということは、スピードが命である世界の半導体市場から自ら退場を選択するに等しい」と話した。
サムスンを含む大企業は非首都圏に継続的な投資を約束したが、現政権は労働時間週52時間上限制の例外といった半導体業界の悲願に「地方投資」という条件をひも付けるなど負担を課している。財界関係者は「国家の存亡に関わる戦略産業をレゴブロックを移すように票田に移せると考えること自体がナンセンスだ」とし、「半導体を地方区のための戦利品のように考える行動が目に余る」と嘆いた。
朴淳燦(パク・スンチャン)記者