朴特検補は、尹・前大統領の非常戒厳宣布を、1980年の5・17非常戒厳全国拡大措置になぞらえて「全斗煥(チョン・ドゥファン)、盧泰愚(ノ・テウ)勢力が権力簒奪(さんだつ)のために断行した措置以来、44年ぶりに起きたこと」だとした。その上で「全斗煥、盧泰愚・元大統領を断罪した歴史的経験があるにもかかわらず、尹・前大統領と公職エリートたちは非常戒厳を手段として内乱を画策した」「国民は、悲劇的歴史が繰り返されないように全斗煥、盧泰愚勢力よりも厳正な断罪が必要であることを実感するようになった」と主張した。
特検チームは、尹・前大統領に戒厳を建議して準備・実行を主導した金竜顕(キム・ヨンヒョン)前国防相については無期懲役を求刑した。さらに、民間人身分で「不正選挙捜査団」を企画するなど戒厳の「裏の企画者」と呼ばれているノ・サンウォン元情報司令官については懲役30年、最近憲法裁判所で罷免された趙志浩(チョ・ジホ)前韓国警察庁長については懲役20年を宣告してほしいと裁判部に要請した。
尹・前大統領の弁護人団は同日、およそ9時間の書類証拠調べを通して最後の弁論に臨んだ。フランスの哲学者モンテスキューの三権分立原則を挙げて「大統領の権限行使を裁判所が審査することはできない」と主張した。国民に国政の危機的状況を知らせるための「警告性戒厳」だという主張も繰り返した。また尹・前大統領側は、ナポレオン3世(フランス)やウゴ・チャベス(ベネズエラ)、ヒトラー(ナチス・ドイツ)など海外の独裁指導者を列挙して「これらの人物は選挙という民主的手続きで権力を握った後、民主主義を破壊した」「今の大韓民国の、ある政党が思い浮かぶ」と述べた。地動説を主張して宗教裁判にかけられたガリレオ・ガリレイに言及しつつ「多数派はいつも真実を理解していない」とも語った。
13日に結審公判が開かれた417号大法廷は、特検の求刑と尹・前大統領側の最終弁論を聴こうとする人でいっぱいだった。尹・前大統領側の弁護人が「戒厳は、特定政党が絶対多数の議席を掌握して立法権・予算権・弾劾権を前面に押し出し、国を非常事態に追いやる状況において、大統領が憲政秩序を守るために宣布した『防御的民主主義』の発動」だと主張するや、傍聴席で支持者たちの拍手が起きる―という一幕もあった。裁判所前では、赤い帽子をかぶって太極旗を持った尹・前大統領の支持者たちが終日、集会を続けた。
昨年4月に始まった尹・前大統領の内乱裁判は、この日、9カ月を経て締めくくりを迎え、残るは宣告のみとなった。韓国刑法は、内乱首謀者罪を死刑、無期懲役または無期禁固に処すると定めている。ただし被告人が罪を自白して反省したり、高齢であったり重病を患っていたりする場合には裁判部の裁量で減刑も可能で、10-50年の懲役・禁固刑が言い渡されることもあり得る。だが法曹界からは「尹・前大統領には減刑事由がないので、内乱罪が認められるとしたら無期刑が出る可能性が高い」という見方が出ている。
キム・ウンギョン記者、イ・ミンジュン記者、オ・ユジン記者