2022年の梨泰院雑踏事故でも共に民主党は事故から5日後に国政調査計画を発表し、55日にわたり国会特別委員会を開いた。142億ウォン(約15億円)という巨額の予算を委員会につけ、すでに終了した捜査は不十分として改めて捜査を行う合同捜査チームまで発足させた。14人が犠牲になった五松地下車道浸水事故も共に民主党を中心に国政調査が行われた。労働災害関連の事故が発生するたびに李在明大統領は「怒り」をあらわにして「責任者厳罰」を指示してきた。ところが西海公務員事件だけは例外だ。現政権は「生命尊重」を掲げるが、実は対象となる国民によってその対応は変わるのだ。
さらに理解し難いミステリーは務安空港事故だ。航空機の墜落で179人が犠牲になるという、韓国の航空会社が起こした過去最大規模の事故だ。航空機が衝突した滑走路先端の盛り土は規定に反して設置された可能性が浮上している。衝撃を吸収する材質ではなく堅固なコンクリート製で、その高さも規定より高かった事実が明らかになった。大規模事故につながりかねない危険な施設だったが、空港を管轄する国土交通部はこれを放置したため、国の不注意で起こった人災であることは間違いない。
航空機のエンジンが止まった原因もはっきりしない。国土交通部事故調査委員会はパイロットのミスの可能性が高いとしているが、6800時間の経歴を持つベテランパイロットがこんな初歩的なミスを犯したという説明はにわかに納得し難い。事故原因は文字通り迷宮入りしつつあるが、だとすれば共に民主党がじっとしているはずがなく、「真相解明だ」「特別検事だ」と大騒ぎするのがこれまでなら当然だった。
しかしどういうわけか共に民主党に目立った動きはない。159人が犠牲になった梨泰院雑踏事故であれほど興奮していた共に民主党だが、犠牲者数も、政府の過失もはるかに深刻な務安空港事故には一貫して消極的で、野党の度重なる要求を受けやっと国政調査に応じただけだ。事故から1年が過ぎて資料の公開もゼロ、責任者の逮捕も0人だ。遺族の代表は「国は1回もまともに回答していない」と泣きながら訴えている。それでも李在明大統領は遺族に「(国土交通部独自の)調査結果から先に確認を」としか語らないなど、李在明大統領の通常のスタイルとは全く異なっている。
このように共に民主党政権が対応に消極的な事件には、「政治的に自分たちにとって不利になる」という共通点がある。「唐辛子を乾燥させる滑走路」と皮肉られた務安空港は金大中(キム・デジュン)政権当時、湖南(全羅南北道)政界の要求を受け建設された。事故の直接の原因となったコンクリート製の盛り土は盧武鉉(ノ・ムヒョン)・文在寅政権が放置した証拠が浮上している。西海事件も文在寅政権による親北路線が問題の本質にある。真相が解明されるほど自分たちに不利だと計算しているのだ。
国の不注意で犠牲になった国民は死後も差別され見捨てられている。国民の命さえ得と失を計算し「価格表」をつける共に民主党式の政治はあまりに非情ではないか。
朴正薫(パク・チョンフン)論説室長