ベネズエラとイラン情勢は韓半島にも影響を及ぼしている【寄稿】

中ロ盟邦の危機は
反西欧連帯を揺さぶり
米に有利に傾く
東アジア情勢に影響
同盟国の中国・北朝鮮も
無謀な軍事挑発は困難

 トランプ大統領は選挙運動当時から米国の海外への軍事介入を縮小化する路線を強力に進めてきたものの、昨年イランの核施設に対する戦略爆撃を断行した上、主権国家の元首であるマドゥロ大統領の逮捕のための軍事行動に乗り出すなど、過去のどの政府にも勝るとも劣らない断固とした姿勢で海外への軍事介入を繰り広げている。こうしたトランプ政権による対外政策を見ると、現在の米国は同盟国のための大規模軍事介入は最小化しているものの、米国の中心的利益を保護するための事案別軍事介入はより積極的に行う方向で政策的進化を遂げる様相を呈している。これはロシアが過去の旧ソ連時代以降、取ってきた対外軍事政策と類似している点で、今日の中国が追求する軍事的膨張政策ともつながりを持つ強大国の赤裸々な自国優先主義の表出と解釈されている。

 このように中国とロシアの盟邦であり、最大の地域拠点であるベネズエラとイランで起きている体制上の危機は、汎(はん)世界的な反西欧連帯に亀裂をもたらし、新冷戦体制の勢力バランスに深刻な不均衡をもたらす恐れが高い。にもかかわらず、これら国家の支援国である中国とロシアは、国内外の案件に圧倒され、軍事支援などの実質的な援助を行える状況ではない。これら国家は国連安保理で米国の「侵略行為」を糾弾することで義理を誇示できるだろうが、ロシアによるウクライナ侵攻、中国による南シナ海での武力強奪や、チベットやベトナム侵攻に向けた戦力増強など、さまざまな侵略の歴史を持つこれら国家による非難が、どれほど説得力を発揮するかは疑問視されるところだ。

 ベネズエラとイランで展開されているこうした状況は、東アジアや韓半島の情勢にも少なからず影響を及ぼしている。何よりも、新冷戦の全般的な勢力バランスが米国に有利な方向へと傾いている状況で、中国とロシアがそれぞれ台湾と欧州で米国と西側に対する新たな軍事的挑戦を敢行することは容易ではなさそうだ。もし、ベネズエラとイランの体制崩壊が現実化し、親欧米政権が発足するとすれば、対米覇権競争の戦略的橋頭堡の喪失と安価な石油供給網の崩壊により、中国の外交的孤立、経済的孤立は一層加速されるものと思われる。そして、こうした状況では、その同盟国である北朝鮮も、韓国や米国に対して無謀な軍事挑発を起こすことは容易でないだろう。

イ・ヨンジュン世宗研究所理事長・元外交部北核大使

【写真】韓国団体の反米デモとイラン人による対抗デモ

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