今回の訴訟の原告は4人で、本人あるいは両親が1960-72年の間に帰還事業に参加した後、2001-03年の間に北朝鮮を脱出して日本に戻ってきた。2018年に北朝鮮を相手取って東京地裁に初めて損害賠償請求訴訟を起こした。22年に一審裁判所は「北朝鮮内部で起きた行為に対して日本の裁判所の管轄権はない」として却下した。だが23年に控訴審は「北朝鮮政府は事実と異なる情報を流して(北朝鮮に)渡航させた後、出国も許可せず、原告は『人生を奪われた』と言える損害が生じた」として事件を東京地裁に差し戻していた。
原告の石川学さん(故人)一家の場合、北朝鮮で気温がマイナス30-45度まで下がる地域に配置され、食料の配給もきちんと受けられず、石川さんの家族は精神的苦痛を訴えた末に死亡した―と弁護人団を通してNHKに伝えた。控訴審の裁判では、2024年に亡くなった石川さんが生前「私たちの声が必ず届くことを心から祈り、信じている」と語った意見陳述動画が再生された。
今回の訴訟で裁判所は、関連書類を裁判所の掲示板に張り出すことで訴状が当事者に到達したと見なす「公示送達」の手続きを取った。時事通信は「外国政府が行った事業の不法行為を認めて賠償を命じる判決は異例」としつつ「実際に賠償金を回収できるかは不透明」との見方を示した。
今回の判決に対し、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)ソウル事務所や韓国国内の北朝鮮人権団体などは歓迎の意向を表明した。ジェームズ・ヒーナンOHCHRソウル事務所長は「今回の判決が、さらに多くの責任究明の機会につながることを希望する」とコメントした。勿忘草、6・25国軍捕虜家族会、転換期正義ワーキンググループ(TJWG)など7団体は共同声明を通して「肝心の韓国では勝訴した国軍捕虜たちが賠償金を受け取れないまま一人、二人と世を去っている」とし、大法院(最高裁)に係留中の、国軍捕虜の賠償金取り立てに関する訴訟の速やかな判決を求めた。
キム・ボギョン記者