26日に韓国国会を通過した法歪曲(わいきょく)罪=刑法改正案=についても、法曹関係者は「大きな社会的混乱を呼ぶだろう」と警告している。同法は刑事事件で判事・検事や警察が法律をきちんと適用しない場合、最大で懲役10年まで処罰ができるようにしている。これについては処罰の基準があいまいで、韓国憲法上の「明確性原則」に違反する、という指摘が多い。
ある現職判事は「これまでは、容疑が認められても判事・検事がさまざまな事情を考慮して起訴や宣告を猶予してやることもできたが、『法歪曲』に問われないように機械的な決定を下すようになる危険がある」「今後は、腹が減ってチョコパイを盗んだ人間も、判事・検事が裁量で善処する可能性は低くなり、法の通りに罪を問うほかなくなるだろう」と語った。
また、法歪曲罪は検事や判事の信念ある起訴や判決を委縮させかねない、という指摘もある。検事長出身のある弁護士は「自分を起訴した検事を、犯罪者が『法歪曲罪』で告発したら、裁判の途中で取り調べを受けに行かねばならないではないか」と評し、「どこの検事が積極的に起訴できるだろうか」と語った。
裁判所からは、判決が既存の判例の枠に封じ込められる恐れも提起された。例えば、韓国においてセクハラを初めて違法と認めた1993年の「ソウル大学ウ助教事件」が代表的だ。当時はセクハラを「私的なスキャンダル」程度にしか認識していなかった時代だが、ウさんは、教授からセクハラに遭ったと主張して損害賠償を請求した。この事件で裁判所は初めてセクハラを違法行為と判断し、加害者の教授に賠償責任を問うた。わいせつ行為、性的暴行だけでなくセクハラも違法だという社会的認識を植え付ける契機になった事件、と評されている。ある弁護士は「新たな人権争点などが登場するとき、下級審判決を始点として大法院の判例が進化してきたのが韓国司法の歴史」と述べ、「法歪曲罪は社会の変化を盛り込んだ判例を作る際の支障になりかねない」と懸念した。
キム・ウンギョン記者、オ・ユジン記者、イ・ミンギョン記者