■圧倒的な対イラン情報能力を誇示
イスラエルは、モサドとエリートエンジニアを中心とするサイバー情報部隊「8200部隊」などを筆頭に、イランの政権要人を狙った暗殺作戦を繰り広げてきた。昨年6月にイスラエルがイラン全域の核・軍事施設を大々的に空襲した、いわゆる「ライジング・ライオン作戦」のときも、革命防衛隊(IRGC)司令官や核科学者6人など、最高位クラスの人物を除去した。24年7月には、マスード・ペゼシュキアン大統領の就任式に招待されてテヘランを訪れた、ハマスの政治指導者イスマイル・ハニヤ氏を暗殺した。当時、カタールに身を隠していたハニヤ氏がテヘランを訪れるという情報を入手し、2カ月前に宿舎に爆弾を設置して遠隔操作で起爆したといわれている。
さらに2018年、モサドがテヘランの秘密倉庫から核機密文書を丸ごと奪取した事件は、イスラエルの圧倒的な対イラン情報能力を示す事例だと評されている。当時、モサドのエージェントおよそ20人はテヘランの商業地区のある倉庫に潜入し、0.5トン分もある核計画資料を奪取した。イスラエル側はこの作戦のために、1年にわたり警備員の勤務形態を監視し、作戦計画を立て、内部関係者の助けを受けてどの金庫に重要情報が収められているかを把握したという。モサドが盗み出した資料の中には、地下核実験が可能な場所、初期的な核兵器5基の開発計画などが含まれていた。ネタニヤフ首相はこの資料の一部を公開して、イランが15年の核交渉妥結後も核兵器を開発してきたと主張し、この事件はその後、トランプ大統領のイラン核合意離脱決定につながった。
合意破棄の後、イランが核兵器開発に再び拍車をかけた2020年、テヘラン近郊で「イランの核の父」と呼ばれる核科学者のモフセン・ファフリザーデー氏が暗殺された。ファフリザーデー氏は乗用車を運転していたとき、近くに止めてあったピックアップトラックから機関銃で撃たれて死亡した。モサドがファフリザーデー氏の動線を把握し、顔面認識で目標を識別するAI(人工知能)機関銃をあらかじめトラックに設置しておいて、遠隔で遂行した作戦だといわれる。
ニューヨーク=尹柱憲(ユン・ジュホン)特派員、キム・ジウォン記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版