2021年から24年にかけて新型コロナワクチン接種が行われた際、ワクチンの一部に異物が混入していた可能性を指摘した監査院の監査結果を受け、当時責任者だった韓国保健福祉部(省に相当)の鄭銀敬(チョン・ウンギョン)長官が謝罪した。鄭銀敬長官は「不十分だった点があり改善が必要」「感染対策の責任者として国民に申し訳なく、また重い責任を認識している」と述べた。鄭銀敬長官は監査院の監査結果発表から2週間が過ぎて初めて謝罪した。責任を取る考えが全くない、まさに文字通り形だけの弁解に過ぎない。
【写真】鄭銀敬疾病管理庁長(当時)がアストラゼネカ製の新型コロナウイルスワクチンを接種する様子
当時、接種を管轄していた疾病管理庁はコロナワクチンに異物が混入しているとの通報をなんと1285回も受理していた。うち127回はカビ、毛髪、二酸化ケイ素などが確認されており、これらの異物はワクチン製造過程で混入した可能性が高い。異物混入という緊急事態が発生すればまず食品医薬品安全処(省庁の一つ)に報告し、同じ工場で製造された同じ製造番号のワクチンは使用せず、調査結果を待つのが常識であり、これまでの手続きだった。ところが当時疾病管理庁長だった鄭銀敬長官は食品医薬品安全処には報告せず製造メーカーにのみ連絡したが、同じ製造番号のワクチン1420万回分の使用を中断させなかった。そのためメーカーの調査結果が出た時点ですでにこのワクチンは全て使用されていた。まさにあってはならない事態が起こったのだ。
鄭銀敬長官は「異物の大部分はゴム栓のかけらや凝集物資だったので問題はないと考えた」と説明したが、科学的な調査をせずこのような断定はすべきではない。もし異物が有害な物質であれば国民の生命に深刻な被害が発生していたかもしれないからだ。日本では2021年にコロナワクチンから金属片とみられる異物が検出された際、同じ製造番号のワクチン163万人分を廃棄した。韓国も20年にインフルエンザワクチンから異物が検出された際には同じ製造番号の61万5000回分を回収している。ところが鄭銀敬長官だけはそうしなかった。
今後の再発防止のためにも、まずいかなる過程で異物が検出されたのと同じ製造番号のワクチンが引き続き使用されたか明確にすべきだ。もしかすると鄭銀敬長官の上の人間が指示した可能性も考えられるだろう。また異物が検出されたワクチンと同じ製造番号のワクチン摂取を受けた人にどのような被害や影響が出たか、また通常のワクチンと比べて接種後の反応に何か違いがあったかも確認しなければならない。ただでさえさまざまなワクチンを巡って陰謀論が広がっている。あいまいなまま終わらせれば再び感染拡大が起こった時に国民はワクチンに関する政府の説明を信じなくなるだろう。