■派兵の代わりに「原油価格安定への寄与」で迂回
トランプ大統領は非公開会談でも、ホルムズ海峡の安定のために、日本など各国の寄与を要請したといわれている。高市首相は、およそ1時間30分の会談を終えた後、取材陣に対し「機微なやり取りではあるけれども、やはりホルムズ海峡の安全確保ということは非常に重要だということ(でコンセンサスを形成した)」「日本の法律の範囲内で、できることと、できないことがあるので、これについては詳細にきっちりと説明をした」と語った。「法律の範囲内」とは、安倍晋三政権時代の2020年に防衛省設置法に基づいて「調査・研究」目的でアラビア海周辺に護衛艦を派遣したのと同じ形式を意味していると解されるが、先に高市首相は「停戦が条件」と言っている。朝日新聞は、政府関係者の話を引用して「会談は和気あいあいとした雰囲気の中で終わった」としつつ「具体的な事例を想定した議論まではなかった」と伝えた。
会談に同席していた尾崎正直官房副長官は「一言で言うと成功裏に終了した」「対面での会談は2回目だが、2回目だとは信じられないほどに深い信頼の結びつきを感じた。さまざまな懸案について率直な意見交換が行われた」と明かした。
高市首相は、代わりにエネルギー価格安定のために努力するという点を強調したという。アラスカ産原油増産のために油田を共同開発して日本に備蓄し、米国に730億ドル(現在のレートで約11兆6200億円)を投資して次世代小型原子炉(小型モジュール炉、SMR)や天然ガス発電所を作り、エネルギー価格を下げることに寄与するというのだ。エネルギー価格の急騰問題は、11月の中間選挙を前に、コーナーに追い詰められたトランプ大統領の最大の関心事でもある。
このほかにも日本は、ミサイルの共同開発・生産を通して日米安保同盟を強化し、中国の希土類(レアアース)規制に対抗して南鳥島周辺の海底希土類採掘事業に米国を参加させることで経済安全保障面での協力も強化することを提案した。
■「金正恩との会談を熱望…中国に対しては『オープンだ』」
一方、高市首相は、拉致被害者問題の解決のために会談において「私自身が金正恩(キム・ジョンウン)氏と直接会う、その気持ちが非常に強いということも(トランプ大統領に)伝えた」「いろいろ協力をしていただけるということ」と述べた。歴代の日本の首相は、拉致被害者問題解決のために北朝鮮との直接対話を求めてきた。高市首相は内閣発足後、各閣僚と共に拉致被害者に対する関心を求める青いリボンバッジを服に付けているが、この日も青いスーツにこのバッジを付けていた。ホワイトハウスは、両国が北朝鮮の完全な非核化と韓米日協力強化についての意志を再確認した、と発表した。また「米国は拉致問題を即時解決するための日本の決意を支持する」ともコメントした。この日、高市首相は、中国との関係を尋ねる質問に「われわれは冷静に対応しているが、中国に対してはいつも『オープン』」と述べた。米日両国は台湾海峡・両岸問題を巡って「武力や圧力を含む一方的な現状変更の試みに反対する」という立場を共有した、とホワイトハウスは明かした。
ワシントン=金隠仲(キム・ウンジュン)特派員、東京=柳井(リュ・ジョン)特派員