【寄稿】不正選挙論に陥った人々を「話が通じない」と無視してよいのか【朝鮮日報】

 一見もっともらしいが、それはメディアの役割に反する。ファクトチェックこそがメディアの基本的な責務ではないか。事実に基づく根拠が乏しい陰謀論を広め、自分の主張に同調しないと、メディアを強引に「アカ」呼ばわりし、購読をやめると脅す。そういう読者について、「わざわざ相手にする必要があるのか」と無視し続けることが正しい対応なのか。

 ファクトチェックを無視すれば、うそは毒キノコのように広がる。例を挙げてみよう。選挙不正論者はトランプ米大統領を引き合いに出し、まるで米国で長期にわたり大規模な選挙不正が行われてきたかのように主張するが、実際はそうではない。アメリカ政治学会(APSA)の選挙支援タスクフォースが2020年の大統領選直前に発表した資料によると、米国における20年までの12年間の全国選挙で名義盗用、複数登録、郵便投票詐欺など不正選挙として報告された事例は計2068件だった。この数字は多く見えるかもしれないが、12年間で約10億回以上の投票があったことを考慮すると、投票数全体の約0.00021%にすぎない数値だ。さらに、APSAの説明によれば、これらの事例はほとんどが選挙管理者のスクリーニングプロセスを通じて最終投票結果には反映されず、選挙不正ではないかと問題が提起された個別の事件を調べた結果、ほとんどが単純な表記ミスか選挙管理職員の単純ミスだったという。もちろん、誤りやミスは少ないに越したことはないが、この程度の数値で全国選挙の結果を変えるほど大きな選挙不正があったと主張できるだろうか。

 今や知識人であれ、政治家であれ、メディア関係者であれ、選挙不正論の前で躊躇したり無視したりする姿勢を捨て、より積極的に反論する必要がある。李俊錫代表とチョン・ハンギル氏の討論を見ていて最も残念だったのは、「国利民福」と政策に関する討論の消失だった。選挙不正論だけを語り続け、結局国民のために何をどうすべきかという議論が不在だった。それが現在の韓国保守右派の現実だ。

 今こそ真に政策を語り、未来を語るためには、妄想にとらわれた選挙不正論者を放置するのではなく、むしろ「事実」の光を照らし、対話の手を差し伸べるべきだ。個人的には朝鮮日報が「アカの新聞」だとして購読をやめた友人の両親に手を差し伸べたい。彼らがその「隠れ家」から抜け出し、現実を直視し、顔を上げて未来を見つめることを心から願っている。そのためには、まず購読を再開する必要があるのではないだろうか。

張富丞(チャン・ブスン)関西外国語大学外国語学部教授

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  • ▲改革新党の李俊錫代表(左)と韓国史講師出身のユーチューバー、チョン・ハンギル氏(本名チョン・ユグァン)が2月27日、ユーチューブチャンネル「ペン・アンド・マイクTV」で不正選挙をテーマに討論を行っている/画面キャプチャー

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