3月10日午後1時ごろ、ソウル市麻浦区の弘大通りにあるミルクティー専門店「茶百道(ChaPanda)」を訪れた。20-30代の二人の女性がパンダのキャラクターの描かれたテイクアウト用のカップを手に、店の前のパンダのオブジェの前で「フーバオが懐かしい」と言いながら、写真を撮っていた。このミルクティーブランドの本社は、ジャイアントパンダの故郷として知られる中国四川省成都市にある。2年前にソウル市江南区で初出店して以降、海外店舗約40カ所(昨年基準)のうち半数近くを韓国に展開している。韓国市場での反応が良好なためだ。
これまで中国製品の消費は主に工業製品に集中していた。しかし、最近では飲食、化粧品、キャラクター、ファッションなど文化やライフスタイル分野へと広がりを見せている。中国ブランドに対する「安かろう悪かろう」という認識も大幅に薄れてきた。「中国製っぽくて安っぽい」という否定的な意味で使われていた「中ティー(中国っぽさ)」という表現も、最近では華やかで個性の強いスタイルを指す言葉として使われ始めている。
■「コスパ」から始まった中国製品の消費
かつて中国製品は「コストパフォーマンス」が最大の強みとされてきた。現在では機能や性能面でも韓国製品に大きく劣らないとの評価が出ている。ロボット掃除機ブランドのRoborock(ロボロック)や空気清浄機・モバイルバッテリーなどで知られるXiaomi(シャオミ)がその代表だ。市場調査会社IDCによると、Roborockは昨年、韓国のロボット掃除機市場でシェア50%を突破した。
注目すべき点は、最近では工業製品以外の分野でも中国ブランドの影響力が急速に拡大している点だ。特に飲食分野でその傾向は顕著と言える。タンフル(中国の伝統菓子「糖葫蘆〈タンフールー〉」が韓国でアレンジされて広まった)のように特定メニューが一時的に流行する段階を超え、中国のフランチャイズが相次いで韓国市場に進出している。中国のミルクティー・ブランド「Chagee(チャジー)」は最近、韓国進出を正式に決定し、今年上半期にソウル市の江南、竜山、新村などで店舗をオープンする計画だ。すでに韓国に進出している中国のミルクティーブランド「蜜雪氷城(ミーシュー)」「HEYTEA(ヘイティー)」「Cha Panda(茶百道)」などが人気を集めていることから、市場性を確認したとの見方が出ている。中国の火鍋チェーン「海底撈火鍋(ハイディラオ)」は最近、羊肉串専門店「ハイハイ・スップルコチ(炭火串)」のグローバル1号店をソウル市中区明洞にオープンし、外食市場への参入に拍車を掛けている。
■ビューティー・ファッションにまで拡大
ビューティー・ファッション分野でも中国ブランドの存在感が高まりを見せている。かつては「派手過ぎる」「ダサい」「目立ち過ぎ」と評されていた強い原色や個性の強い装飾、華やかなパターンといった中国風のデザインが、逆に「C(チャイナ)スタイル」と呼ばれ、「個性的」との評価を受けている。
レース模様やハート型の装飾など、お姫さま風のパッケージ・デザインを特徴とする中国コスメブランド「Flower Knows(フラワーノーズ)」は昨年10月、ソウル市城東区聖水洞にポップアップストア(仮設店舗)をオープンした。同店舗には2週間で約2万7000人が足を運び、話題となった。最近ではファッションプラットフォーム「MUSINSA(ムシンサ)」や新世界のビューティーセレクトショップ「CHICOR(シコル)」にも出店している。MUSINSAによると、同ブランドが正式入店した2月25日には検索数が急増し、アイメーク部門で販売1位を記録した。値段は3万-4万ウォン(約3180-4240円)台と、韓国ブランドと大差はない。MUSINSAの関係者によると「入店後1週間で関連検索数が350%も伸びた」という。中国製化粧品に対する品質不信が強かった過去とは明らかに異なった様相を呈している。
また、中国コスメブランド「JUDYDOLL(ジュディドール)」「INTO U(イントゥーユー)」などもオンラインを中心に認知度を高めている。韓国国家データ庁によると、中国製化粧品のネットでの購入額は2024年の3711億5400万ウォン(約390億円)から昨年は4216億ウォン(約450億円)へと増加した。