「ネゴヒャン女子蹴球団」が韓国でさらけ出した北朝鮮の素顔【寄稿】

北朝鮮にとってスポーツも政治の道具、忠誠と生存のため感情抑制と突発発言
同じ競技場で時間を共にしたが全く異なる二つの社会…自由民主主義の価値も確認

 北朝鮮の女子サッカーチーム「ネゴヒャン(わが故郷)女子蹴球(しゅうきゅう)団」が最近、韓国を訪問し、激しい試合を繰り広げた。この来韓ニュースを耳にした瞬間、今年2月に金正恩総書記が第9回党大会後に開かれた軍事パレードで発した言葉が思い浮かんだ。彼は当時「韓国との関係において残されたものは何もなく、あるとすればわが国の国益に基づいた冷静な計算と徹底した対応だけだ」と述べた。

 この発言は韓国への非難の次元を超え、南北関係を徹底的に利害関係に基づいた「国家対国家の関係」として固定化するという宣言だった。北朝鮮は最近、憲法と党規約を改正して統一や同族という概念さえも消去し、南北関係の枠組みそのものをなくそうとしている。今回の選手団派遣もまた、北朝鮮式「国益計算法」の延長線上で理解すべきだ。北朝鮮の立場からすれば、スポーツは露骨な政治宣伝よりもはるかに効率的な政治的道具だ。スポーツの舞台を通じて、自らが主張する「二国家論」を自然に刷り込もうとしたのである。

 現実的な計算も働いている。北朝鮮の女子サッカーは、かなりの競争力を備えた種目だ。過去の対戦では韓国に3対0で勝利したこともあり、国際舞台でも強豪として評価されてきた。北朝鮮はこうした自信を基に、選手団の訪韓を決定した可能性が高い。勝利によって体制の優越性を宣伝し、賞金で経済的な実益まで得られるのであれば国益に合致する。韓国に比べて著しく劣勢な男子サッカーであれば選手団を派遣することはなかっただろう。これこそが北朝鮮式「国益計算法」である。

 北朝鮮の「故郷体育団」は、金総書記の警護を専任する護衛総局所属だ。金総書記の個人体育団と言っても過言ではない。北朝鮮体制において、最高指導者と直接結びついた組織の意味は特別だ。スポーツチームというより、権力の私的組織に近い。金総書記はバスケットボールを楽しんでいた時代に、自身の専用チーム「稲妻チーム」と「雷チーム」を運営していた。護衛総局所属として「鯉明水サッカー団」も活動した。こうしたチームの勝利は、そのまま指導者の業績として認識される。

 今回韓国を訪問した女子サッカー選手たちの体格は、西側の選手たちに引けを取らなかった。体格と体力、試合運営能力のすべてがかなりの水準にあった。これは金総書記の直接的な関心と支援なしには不可能なことだ。最高水準の選抜と訓練、栄養供給が行われていることを裏付けている。食糧難と経済難に苦しむ住民たちとは異なり、体制宣伝に活用される分野には資源が集中する北朝鮮体制の一面を示す事例だ。

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