激変する国際秩序の中で、同盟の放棄は国家存亡に直結する。中国は2049年までに世界の中心になるという「中国の夢」を掲げ、北朝鮮、イラン、ロシアなどの権威主義体制と連帯し、米主導の秩序を揺るがしている。北朝鮮は核能力の高度化により、韓国に「核の影(Nuclear Shadow)」を落とす態勢を構築した。ビジネス交渉術になぞらえた「ディール外交」を繰り広げるトランプ政権は、米・イラン戦争において米国を積極的に支援しなかったNATO(北大西洋条約機構)加盟国に憤り、NATO脱退さえも検討している。
もし韓国政府が主権強化という大義名分ばかり掲げるのであれば、トランプ大統領は米国から1万キロ離れた台湾を交渉カードとして活用したように、在韓米軍削減や戦時作戦統制権早期移管などを対北朝鮮・対中交渉のカードとして切り出す可能性がある。在韓米軍のジェイバー・ブランソン司令官が、戦時作戦統制権の移管について「政治的な都合が条件に優先してはならない」と警告した理由はここにある。米国の国防戦略書(NDS)は中国の膨張を阻止するため、九州・南沙諸島・台湾・ルソン・ボルネオを結ぶ「第1列島線」内の同盟国の役割を強調している。ジョセフ・ヒルバート米第8軍司令官も最近、「韓国もまた第1列島線に属している」と断言した。中国の顔色をうかがう同盟国は、米国の防衛線から除外される「21世紀のアチソン・ライン」が形成される可能性を示唆している。
ワシントンが韓国を中国の圧力に揺らいで同盟の核心要素も譲歩し得る国と誤解すれば、「鉄壁の同盟」というスローガンは砂上の楼閣に過ぎない。韓国政府と政界は安全保障を盾にする国内向けのポピュリズムをやめなければならない。米国の政界・学界の深い懸念を解消し、崩れた韓米同盟を再建するための精巧な戦略と実質的な対話がこれまで以上に切実に求められている。
峨山政策研究院・崔剛(チェ・ガン)院長