反逆者を識別…中国が「マイノリティーリポート」さながらの国家AI監視網を開発

 中国で映画「マイノリティ・リポート」さながらに政府を批判したり、反政府デモに参加する人物を事前に選別する人工知能(AI)技術を開発しようとした形跡が明らかになった。通信記録やインターネット使用履歴、ソーシャルメディア活動、位置情報など市民が残した過去と現在の痕跡を集約し、今後政権への反対者になる確率を計算する監視インフラだ。

 ニューヨーク・タイムズは1日、中国の大規模検閲インフラ構築と関係がある企業「積至(海南)信息技術」(Geedge Networks)から流出した約10万件の文書と米バンダービルト大の研究チームの分析に基づき、積至が2024年初めから政府系の研究組織メサラボ(MESA Lab)と共同で政治リスクのある人物をAIで識別する技術を研究していたと報じた。

 積至は中国の国家レベルのインターネット検閲システムである「防火長城(グレートファイアウォール)」の商業用バージョンを販売していた企業だ。これまで特定のサイトへのアクセスを遮断したり、検閲を回避する仮想プライベートネットワーク(VPN)の使用を根本的に防ぐソフトウエアを主に販売してきた。積至の主任科学者は「中国インターネット検閲の父」と呼ばれる方浜興教授だ。流出した文書を分析したセキュリティー研究機関インターセクラボは、積至がユーザーデータパケットの内容を詳細に検査する「ディープパケットインスペクション(DPI)」とモバイル通信利用者をリアルタイムで監視する機能を備えたシステムを提供していると説明した。

 積至は監視網を通じて収集したデータに基づき、今後誰が政治的リスクになる可能性があるかを推定した。同社が開発したシステムは、これまでデジタル空間に散在していたデータを一元化し、ユーザーの行動フローを把握する。まず、実名で登録した携帯電話番号をメッセンジャーアカウントと紐づけて管理する。さらに、携帯電話の固有識別子とIPアドレスでVPNによるう回接続履歴まで人物プロファイルに統合する。基地局の通信記録と全地球測位システム(GPS)の信号を加えると、個人がいつデモ現場を通過し、どの活動家と接点を持ったのかという時系列の軌跡が完成する。専門家は中国のように国家が通信網を独占し、プラットフォームへの協力を強制できる環境ではそうした情報統合が容易だと分析した。

 VPNを頻繁に使用したり、海外メディアを主に閲覧したりする人物、過去にデモ現場を繰り返し訪れた記録や反体制活動家と接点を持つ行動が組み合わさると「潜在的政治リスク人物」というスコアが付与される。このシステムはどういう本を購入し、どの映画館でどんな作品を見たかまで移動経路と結びつけて把握できる。バンダービルト大のブレット・ベンソン教授(政治学)は「平凡なデータがそのユーザーが誰であり、次にどういう行動を取るかを決定する材料になる」と述べた。

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