流出した文書によれば、研究チームは2024年2月5日の会議で、人々の「意図」を特定し、「有害情報」を発見する方法について議論した。中国共産党の体制下で有害情報は凶悪犯罪情報にとどまらず、政治的反対意見や体制批判、当局が抑えようとする敏感な論争テーマまでを含む。米カリフォルニア大学グローバル紛争協力研究所のジミー・グッドリッチ首席研究員は「中国のセキュリティー機関はデータの過負荷に直面している。AIの真の価値は膨大なデータの中から重要な脅威を選別することにある」と語った。14億人の市民を人間が直接監視することはできないため、まずAIを使って調査対象を特定する狙いとみられる。
専門家はAIが付けた危険スコアが犯罪容疑に直結する状況を踏まえ、実際にデモに参加していない市民もアルゴリズムの誤判断でブラックリストに載る可能性があると懸念している。欧州連合(EU)はそうした状況を防ぐため、AI法で個人の傾向や特性だけで犯罪リスクを予測・評価するシステムを明示的に禁止している。バンダービルト大複雑社会課題研究所のブレット・ゴールドスタイン所長は「大量監視がAIに出会うとそういうことが起こる。中国が現在自国民に対して行っていることは、制御されていないAIを導入するどの国でも起こり得る未来の予告編だ」と指摘した。
中国がこの技術を完成させて実際の現場に配備したかどうかは明らかになっていない。専門家は中国がそれほどの規模でAI予測モデルを稼働させるほど高性能な半導体を確保できていないとみている。以前のようにインターネット検閲でNGワードをテキストから除去する作業は少ない計算能力でも可能だ。しかし、全国民を対象に通話傍受音声や監視画像、位置情報を関連づけて未来の行動を予測するには、膨大な計算能力を持つGPUインフラが不可欠となる。バンダービルト大は公開文書に基づき、「積至はGPUの限界状況に直面し、型落ちして性能の低いAIモデルやチップを使用し始めた」と述べた。バイデン政権が導入した対中半導体輸出規制が中国の監視体制の高度化を遅らせたという分析が支持を得ている背景がそこにある。
トランプ大統領の就任以降も中国は米国の制裁で最高性能を備えるエヌビディアのチップを依然として導入できていない。ニューヨーク・タイムズは米当局者の話として、「積至は既存製品用のGPUを確保しているが、最も野心的な予測システムを実現するには中国が入手しにくい高性能チップが必要になる可能性が高い」と伝えた。
ユ・ジンウ記者