考古美術史学専攻のウェブトゥーン作家「ホヨン」は、30代という若さで突如、早期閉経を迎えた。時と場所を選ばない発熱、はしを使うことすら困難な関節痛、鬱感、不眠症……。どういうわけか、服用する薬ごとに副作用もひどかった。大学病院を訪ね、約100日分の薬を処方してもらった。「えっ? 100日分も? うわああ、心臓がすごく痛い!!」(カカオ・ウェブトゥーン『閉経録』=原題。以下同じ=)。華やかに目を引く演出はない。しかし、今年1月に連載を開始したこのウェブトゥーンは、淡々とした絵柄と生々しい体験談で30代・40代の女性読者の共感を呼び、始まってから2カ月で週間閲覧数トップ10に入った。週間閲覧者数1位を記録したこともある。
【写真】ウェブトゥーン『私たち、今日も生きているね?』と『大したことないさ』の一場面
最近、韓国ウェブトゥーン界で「闘病」をテーマにした日常系ウェブトゥーン、「日常トゥーン」が台頭しつつある。穏やかな日常系ウェブトゥーンは、10年ほど前に流行したジャンルだった。「ドーパミンに満ちた」ファンタジー・武侠・ロマンス作品が主流のウェブトゥーン界においては異例のことだ。「闘病ウェブトゥーン」は、自らの苦痛を扱いながらも決して憂鬱になりすぎず、時には愉快に描き出している点が共通している。読者たちは作家を応援する言葉でコメント欄を埋め尽くしている。
6月30日に連載を開始したカカオ・ウェブトゥーン『私たち、今日も生きているね?』は、筋萎縮性側索硬化症(ALS、ルー・ゲーリッグ病)を患う父親を扱っている。作家は父親と過ごす時間や感情が薄れていくことを恐れ、漫画を描いているという。作家自身が経験したいじめや自主退学による心の傷に、さらなる不幸が重なって崩れてしまいそうだが、自分を大切にして、世界を受け入れる方法へと物語を拡張していく。中学校の時にてんかん(脳電症)と診断され、薬を服用しながら過ごす物語『脳電症日記』(カカオ・ウェブトゥーン新作)は、作家が経験する症状を生々しい色彩とイメージで描き出し、好評を博している。
先月、連載を終えたネイバー・ウェブトゥーン『大したことないさ』は、「お気に入り(購読)」読者だけで15万人に上る。大学生だった作家に突如訪れた下半身麻痺を愉快に描き出す。コメント欄では読者たちが「辛い闘病期間を『大したことない』という気持ちで乗り越えよう」と、それぞれの痛みを共有している。注意欠陥・多動性障害(ADHD)を扱った物語『そそっかしい私の人生』(ネイバー・ウェブトゥーン)も昨年から連載中だ。
専門家らは、闘病ウェブトゥーンの人気の理由について「刺激に満ちたコンテンツの洪水の中で、実際の生活に基づいた『真実味』があるからだ」と指摘する。慶南大学メディア映像学科のチャン・ミンジ教授は「AI(人工知能)時代において、読者は生きている物語に真実味を感じる」とした上で、「自分や他人の痛みのような最も私的な物語から受ける慰めが大きい」と語った。大衆文化評論家のチョン・ドクヒョン氏は「普遍的な共感素材である『疾病』は、テキストや映像とは異なり、ウェブトゥーンで見た時に負担なく楽にアプローチできるという長所がある」と述べた。