日本政府の半導体・ディスプレー用重要素材3種の対韓輸出規制が85日目を迎える中、半導体工程に必須の液体フッ化水素など一部素材はまだ1回も輸出許可が下りていないことが分かった。該当製品の供給が長期間断たれ、韓国半導体業界では「使用済みのエッチングガス(高純度フッ化水素)も見直そう」と節約を呼び掛けるスローガンが登場するなど圧力が高まっている。

 26日、韓国半導体業界によると、日本政府は8月29日にサムスン電子向けの気体フッ化水素(ウエハーに薄い膜を被せる工程に使用)1件の輸出を許可して以降、フッ化水素の追加輸出を許可していない。特に半導体ウエハーのエッチング、不純物除去に使われる液体フッ化水素は85日にわたって輸出許可が出ていない。

 これに先立ち、日本は7月にフッ化水素とフッ化ポリイミド(フレキシブルディスプレーに使用される素材)、フォトレジスト(半導体回路を描く際に使用)の韓国への輸出について、これまでの3年有効の包括許可から個別許可に切り替える方式で輸出規制を強化した。日本はその後、フォトレジストは2件(8月7日、19日)、気体フッ化水素は1件(8月29日)の輸出許可を出した。日本政府の許可が3回続き、当時の韓国半導体業界からは「日本の輸出規制によるリスクがある程度緩和される」との期待感が生まれた。しかし、業界関係者は「それ以降の輸入は全くない。先月輸入された気体フッ化水素も供給不足を解決するには至らない少量だった。日本が国際社会を意識し、面目を立てたのだと思われる」と指摘した。

 日本製液体フッ化水素の供給が長期間断たれ、サムスン電子とSKハイニックスが備蓄したフッ化水素の在庫量も急速に減少している。業界は在庫量を極秘事項にしているが、フッ化水素の保管可能期間が3カ月であることを考えると、業界が保有する在庫量は1カ月分にも満たないと推定される。

 サムスン電子とSKハイニックスは在庫のフッ化水素を最大限節約して使う一方、国産フッ化水素の最終テストを進めている。サムスン電子はサムスン電子綜合技術院が研究した「エッチングガス節約法」を実際に生産ラインに適用しているという。例えば、ウエハー数枚を積み上げて、大きな筒に入れ、洗浄時にもこれまではフッ化水素をウエハーの高さよりも1センチメートル上まで充填していたものを0.5センチメートルまで減らすといった方式だ。しかし、節約は在庫払底を遅らせるその場しのぎの方法にすぎない。根本的な対策として、日本製に代わる供給元を確保することが急がれる。

 サムスン電子は韓国企業ソウルブレインが製造したフッ化水素を一部の製造工程に投入し始めたという。サムスン電子関係者は「テストが完了するまでには時間が必要だ。日本製を完全に切り替えるのではなく、同じ工程で使用できる複数の供給元を確保するという意味でテストしている」と説明した。

 SKハイニックスも国産フッ化水素2種程度を製造工程に投入してテストしている。今月末か来月初めにもテストを完了し、一部だが国産品への切り替えが可能となる見通しだ。日本のフッ化水素メーカーの海外法人や韓国企業との合弁会社が生産したフッ化水素の供給を受ける案も推進している。高純度フッ化水素の在庫がなくなれば、当面は半導体ウエハーの不良品率が高まることを覚悟で代わりのフッ化水素を投入し、生産を継続する方針だ。

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