【コラム】中国は韓国主導の統一を望んでいない

 統一の問題で中国の役割を期待するのは、もともと幻想にすぎない。中国は北朝鮮の主導する統一ならともかく、韓国の主導する統一はいかなる形であっても(平和的であれ武力を使う形であれ)容認できない。それは米国と軍事同盟を結んでいる国とは国境を接することができないという中国の古い「安保第1条」に起因している。6.25戦争(韓国戦争)のとき中国の軍隊が後になって参戦することになったのは、北朝鮮が敗れて米軍が鴨緑江・豆満江に布陣するという状況を見過ごすことができなかったからだ。ヘンリー・キッシンジャー元米国国務長官の回想録には「6.25戦争当時、国連軍が韓半島(朝鮮半島)の最もくびれた地点(半島東海岸の鎮南浦と元山)で北への進軍をやめて休戦していたら、中朝国境は無事で、よって中共軍の介入は防げただろう」という内容がある。これは中国が潜在的敵軍によって包囲されるという構図をいかに恐れていたかを物語っている。今でも中国と国境を接している国はどこであれ、そこに米軍の軍事基地がある場合、中国は公然と軍事介入に乗り出すだろう。

 これはほぼ全ての大国に適用される安全保障の論理だ。統一ドイツが旧ソ連と国境を接していたら、すなわち間にポーランドという緩衝地帯がなかったなら、ソ連は統一ドイツを容認しなかったはずだ。ロシアがクリミア半島に侵攻し、ウクライナ騒乱を誘発したのも、そこに米国の軍事基地が設置されるのを防ぐことができなかったからだ。今ロシアと国境を接している国で米国と軍事同盟を結んでいる国はない。1960年代に米国のケネディ大統領がキューバを侵攻したのも、米国のすぐそばにあるキューバがソ連のミサイル基地建設を許容したからだった。

金大中(キム・デジュン)顧問
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