【コラム】中国は韓国主導の統一を望んでいない

 このような歴史上の実例に照らし合わせてみると、現在の中国はどんなに北朝鮮が面倒な存在だとしても、米軍基地のある韓国が統一を主導する場合、それを容認することはできないだろう。韓国が韓米同盟を破棄して米軍の撤退を断行するなら中国も態度を変えるかもしれないが、現在の状況では中国は、緩衝地帯として北朝鮮の存在が必要だ。そうした意味でも、統一に向けた韓国の努力に中国が「協力」することは考えられない。さらには、北朝鮮内部の政治的混乱によって韓国主導による統一の可能性が開けたとしても、中国が北朝鮮に進駐して韓国による吸収統一を阻止するだろうという見方も専門家の間では出ている。

 朴大統領は「信頼」をあらゆることの基本と考える政治家だ。そのため、今回の訪中でも中国側の歓迎に非常に励まされ、また中国側の言葉を重視する傾向を見せていた。しかし中国の「二重プレー」を内面で消化しつつ、中国側の言葉が外交的リップサービスの可能性もあることを忘れずにいてほしいものだ。中国だけがそうなのではない。覇権主義的性向のある国々は、面と向かってあることを口にしておいて裏では別のことを言うのを得意とする傾向がある。

 歴代大統領をはじめ、韓国の指導者たちは統一について本音をあらわにし過ぎる傾向がある。「統一に言及してこそ指導者としての資質がある」とか「統一を『悲願』と考えてこそ民族性の確実な指導者だ」などとする社会的ムードのせいもあるが、ほとんどの指導者は統一に対して自身の見識を披露し、長々と熱弁をふるう。一種の韓国的「大統領病」だ。しかし統一はわれわれが単独で行うゲームではない。北朝鮮という相手がいて、韓国国内の異質分子がいて、韓国と北朝鮮の背後で影響力を行使する「大株主」の国々がいて、さらに南北の経済力も絡んでいる複雑かつ難解な問題なのだ。

 指導者は統一を「政治商品」と考えるべきではない。そして実現の可能性もないのに統一への希望を頻繁に口にすべきではない。将来の統一に備えて条件を細かく積み上げることは必要だとしても、言葉を選んで慎重に話し、有利な状況を待つことの必要性を認識すべきだ。そうすれば、ある日統一はわれわれの目の前にふと姿を現すはずだ。

金大中(キム・デジュン)顧問
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