【寄稿】韓国のDNAに刻まれた中国への片思い

 「中国との間で韓半島(朝鮮半島)の平和統一について深く話し合った」。今月初めの韓中首脳会談の後、朴槿恵(パク・クンヘ)大統領が最初に発した言葉だ。これは韓国の政府や民間に広がっている、中国に対するバラ色の期待を圧縮したものといえる。それは厄介者の北朝鮮を、中国が見捨てる日が来るのではないかという期待だ。だが、冷厳な国際政治は、このような楽観論を拒否するものだ。韓国主導の統一に向けたシナリオを中国が認めた証拠はない。

 韓中国交正常化以来一貫している中国の態度は明確だ。「韓民族(朝鮮民族)による韓半島の平和統一を支持する」としているが、その背景には恐ろしい伏線がある。南北のどちらか一方による武力統一や、暴力的な過程を伴う吸収統一に反対し、韓半島情勢の急変の際の外国の介入にも反対するというのが、中国の主張の核心だ。結局、米国が駐留を続ける「統一韓国」を容認しないというのが「帝国・中国」の防衛線なのだ。これは60年余り前、中国が6・25戦争(朝鮮戦争)当時の行動を通じて示した姿勢そのものだ。

 「核保有国・北朝鮮」の登場により、南北の合意に基づく統一は不可能になった。よって、韓国に残された唯一の現実的な選択は、北朝鮮を平和裏に吸収統一する以外にない。「統一こそが北朝鮮の核問題の究極の解決策だ」という朴大統領の発言は、事態の本質を正確に捉えたものだ。まさに問題の核心は、習近平国家主席の外交的な修辞に隠された中国の国家的な利害関係が、朴大統領の吸収統一案と衝突するという点だ。

ユン・ピョンジュン韓神大学教授(政治哲学)
前のページ 1 | 2 | 3 次のページ
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
あわせて読みたい